一冊の本が世に出るまで・その1

顧客を動かす!インタビュー式営業術

顧客を動かす!インタビュー式営業術


そのメールが届いたのは7月1日だった


メールの主はミシマ社という出版社に勤める大越さんである。ミシマ社といえば、私が勝手に師と仰いでいる何人かの賢人の一人内田樹先生の本を出している出版社。良く知っている。そのメールには、私のブログを読んでくれていること、私のブログにはキーワード『内田樹』で検索をかけたときにたどり着いたと記されていた。


そして7月1日にアップしたエントリー『ひと(人)のひと(一)(→ http://d.hatena.ne.jp/atutake/20080701/1214875682)』を読み、最後に紹介した小冊子『お客様を逃さない7つの魔法のサービス』を読んでみたいと結んであった。


もちろん喜んでと、すぐに送った。この小冊子はもう数年前に書いたもの。以前、よく仕事をしていた広告代理店から依頼を受けて顧客満足研究所という別組織を立ち上げたことがある。そこで主に20代後半から30代前半の女性をモニターに、居酒屋各チェーンをまわって約80項目の調査とデプスインタビューを行い、その結果得られた知見をまとめたのが小冊子『お客様を逃さない7つの魔法のサービス』だ。


これがものすごいタイミングでの奇遇となった。


なぜなら、ちょうどそのとき私の方でもミシマ社にアプローチをとろうとしていた矢先だったのだ。以前にも紹介したInsightNowの特集『FMO(→ http://www.insightnow.jp/feature/)』に、ミシマ社三島社長に登場していただこうと企画を立て、取材依頼書を書こうとしていたタイミングで飛び込んできたのが大越さんのメールだった。


小冊子を送ると同時にちょうど三島社長に取材をお願いしようとしていたことも併せて伝えると、取材は一発でOKとなった。そして自由が丘のとてもすてきな事務所に伺って取材をしたのが7月15日。このとき大越さんとも初めてお会いする。大越さんからは『お客様を逃さない7つの魔法のサービス』を元に何か書いてはどうかという話をいただいていた。が、取材当日には時間がなくてじっくりとお話しする機会がなかった。


そして次に上京したときに大越さんとじっくりお話しさせてもらった。そこで大越さんからあるテーマについて書くことをオファーしていただく。それもおもしろそうなテーマだったが、そのときには今回の本となったテーマが自分の中で固まっていた。


自分がイチバン得意なことは何だろうと考えて、たどり着いたのがインタビューだったのだ。そしてこれまでの経験を踏まえても、営業にインタビューの手法を持ち込めば必ずうまくいくという確信があった。実際、中小企業さんから何回か営業インタビューの代行依頼を受けていて、ある程度自分なりの方法論も見えていたのだ。


そこで提案したのが『インタビュー式営業術』である。行けるかもしれないと大越さんに認めてもらい、まず企画案を作ることになった。出した企画案が編集会議にかけられ、出版提案として確定したのが9月1日のこと。最初に大越さんからメールをもらってちょうど2ヶ月である。


それから原稿書きがスタートした。


目標枚数は250枚、字数換算なら10万字。月間目標を30万字に置いているのだから割とちょろいかもと思ったら、これが大変な間違いであったことに気づく。たとえばこのブログはだいたい2000字がメドとなっている。だからブログを50本書くつもりでいればいい、などと甘く考えていたのが致命的な誤りであった。


何しろ『本』なのだ。最初から最後まで一貫した流れがないと、何を言いたいのかがさっぱりわからないことになる。しかも、せっかく本を出すのなら、たくさんの人に読んでもらいたい。そのためには井上ひさし氏が言っておられるように「難しいことを易しく、易しいことを深く、深いことを面白く」書かなければならない。


問題意識が少々あるだけでは、あるいは中途半端な知識をもっているぐらいでは、到底一冊の本などにはまとまるわけがないのだ。大越さんと約束した締切りは11月初旬。2ヶ月あれば何とかなるだろうとあまりにも軽く考えた自分の愚かさを呪った。また、ちょうどタイミングよくというか何と言うか、9月末に空手の昇段審査をしていただけることになっていて、そのための稽古にも時間を割かなければならなかった。


原稿は進まない。というか、そもそも最初に立てた構成では、本として成立しないことが書いているうちにわかってきた。昇段審査も迫ってくる。審査でぼこぼこになる夢と、自分にとっての最高のチャンスを与えてもらっていながら本を書けなくなる夢を代わる代わるに見る日々に陥ってしまった。



昨日のI/O

In:
『国家と神とマルクス佐藤優
Out:
淑徳大学・齊藤順子教授/野田陽子教授インタビュー原稿


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「顧客を動かすインタビュー式営業術」
http://blog.mag2.com/m/log/0000190025/
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□InsightNow最新エントリー
iPhoneが開きgPhoneが広げる新しい世界」
http://www.insightnow.jp/article/2475

昨日の稽古: