一冊の本が生まれるまで・その2

顧客を動かす!インタビュー式営業術

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締切が迫っていた


しかし原稿は進まない。自分が勝手に思い込みすぎていることはわかっている。何しろ本を書くのだからと一人で肩に力を入れまくっているのである。しかし、少し冷静に考えてみれば、ブログと本のどこが違うのか。読者の数だけなら、つい先日書いたスタバに関するエントリーを読みにきてくれた人は、トータルで4万もいる。言うまでもなく本を4万部も売るのは、とんでもなく大変なことだ。


だから文字量は決定的に違うけれど読者数だけで考えるなら、ブログの方が多いともいえる。では本は残るが、ブログは残らないと考えるのはどうか。これも変だ。


本は売れなければ、速攻で絶版となる。売れないのだから書店からもすぐに姿を消すだろう。返品された本が最終的にどんなふうに処分されるのかは知らないが、世の中から消えていくことは間違いない。それなら、このブログの方が長生きするかもしれないではないか。だってはてなダイアリーは、おそらくはてなが続く限りは保存されるだろうから。


結局は、元文学青年の妙な思い入れがなかなか原稿を思うように書けない原因なのだと考えるに至った。それならブログを書くつもりで、でも全体像を見据えながら、自分に書けることをきっちり書いていってはどうだろうと気持ちを切り替えた。本を書くからには、まとまった執筆時間をきちんと取り、仕事場の机に向かって姿勢を正して、と形式張って考えていたのもやめである。


どうやって書くかなどとカッコ付けている場合ではないのだ。自分にとって大切な本であるなら、四六時中その本のことを考えていればいいのである。何か思いついたら、すぐにその思いつきを書けばいい。と決めてからはノートパソコンを常にスリープ状態で持ち歩くようになった。電車の中でも書く。新幹線に限らず近鉄電車の快速でもすわれる時は書く。思いついたことを電車に乗っている間に書き終わらないときには、駅で降りてからベンチに座った書いたりもした。


そして夜寝る前か、もしくは朝起きたらすぐにそれまで書いた断片的な原稿を全部読み返してみて、どうつなげば流れがまとまるかを考えるようにした。


本を書くための時間を確保して、などとカッコ付けて考えているからダメなのであって、一日中24時間のすべてを本を書く時間と考えればいいわけだ。そしてその合間に仕事をする時間を差し挟んでいく。それぐらい没頭しないと本など書けるわけもないと悟った。


やがて起きている間はずっと、原稿のことが頭の片隅のどこかに居座るようになった。すると微妙な変化が起こった。書き溜めてきたバラバラの原稿に何となく流れが見えてくるのだ。といっても、自分の頭の中だけでの現象だけれども、構成みたいなものが再び固まってきた。結果的には最初に出した企画案とそれほど変わらない流れになったのだけれど。


と同時にちょっとしたアイデアも思いついた。これまで自分の仕事の中で体験してきたさまざまなシーンの中で、本の内容につながる出来事が次々と蘇ってきたのだ。これはとても不思議な感覚だった。「そういえば、あのとき、あそこで、あの人と話したこと」が使える。一つ取っ掛かりを思い出すと、次から次へと本のネタに使えそうな過去の体験が浮かんでくる。これを実例として挟んで行けばわかりやすくなるのではないか。


幸い空手の昇段審査の方は無事に終わり、夢は本に関するものだけになった。しかも夢の中身が「書けなかったらどうしょう」から「こんな事を書いたらどうか」とか「あの時のエピソードを盛り込めるんじゃないだろうか」といったものに変わってきた。


こうした夢を見ているときの眠りが浅かったのかどうかはしらない。ただ目覚めたときには、夢を忘れないようにメモを走り書きし、メモした内容をふくらませるべくすぐにiMacを立ち上げた。そして、11月9日、何とかゼロ稿が仕上がった。


しかし、ゼロ稿はまだまだ完成にはほど遠いものだ。何しろ文字数が予定より相当に少ないのである。書き上げては見たものの、本当に本になるのかどうかが極めて危ぶまれる状態だったのだ。




昨日のI/O

In:
『日本語の教室/大野晋
Out:
淑徳大学・齊藤順子教授/野田陽子教授インタビュー原稿


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「人材は中国から」
http://blog.mag2.com/m/log/0000190025/
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□InsightNow最新エントリー
「スタバの変化と上場リスク」
http://www.insightnow.jp/article/2525

昨日の稽古:

・懸垂、レッシュ式腹筋