脱・マイカーの時代


クルマを買いたい人1230万人


ガリバー自動車研究所の調査結果らしい(日経産業新聞2009年2月4日付13面)。本当かしらん。ガリバーといえば中古車屋さんである。自動車産業に関わるものとして、いささかバイアスがかったポジショントークとなっている可能性がありはしないか。


ときにいま、日本で免許を持っている人は7700万人もいるらしい。ガリバーの調査によれば、そのうちの約16%(すなわち1230万人)がクルマを買いたいと考えているそうだ。


ここでいきなり個人的なネタになってしまうが、近々引っ越す予定である。引っ越し先はいま暮らしているところよりも、もう少し都市部になる。ゆえに公共交通機関が充実している。たとえば徒歩5分圏内に市バスターミナル、地下鉄、私鉄の駅がある。地下鉄に乗れば5分で新幹線に乗り継ぐことが可能だ。チョー便利である。


都市部とはいえ、それほど大きな都市ではない。北から南まで、あるいは東西にしても、だいたいのところはたぶんタクシーに乗って2000円ぐらいでカバーできる。4月からは子どもが中学校に上がるので、これまでの塾通いのようにクルマで送り迎えする必要もない。というわけでクルマを手離そうかと考えている。


とりあえず地下鉄のある都市(といっても札幌と仙台はちょっと事情が違うと思うけれど)では、クルマを持つメリットがあまりないのではないだろうか。


クルマを持つメリットが何かといえば、自由な移動なのだろうが、さて本当にそうか。少なくとも都市部に限れば、クルマが「自由な」移動手段だとはあまり思えない。慢性的な渋滞(道路面積に対してクルマの数が多すぎるのだろう)のため特定の時間帯をのぞけば、そんなに自由には移動できない。時間を気にするときなどは、地下鉄を含む電車に頼るのがいちばん確実だ。


あるいは休日には家族揃ってドライブを楽しむ、というライフスタイルももはや過去のものではないか。休日のドライブはとにかくハイリスクである。かつてはサンデードライバーに気をつけろといわれたが、今では紅葉ドライバーにも注意しなければならない。ごく稀にではあるけれども、一方通行を逆走して大事故、なんてニュースを聞くたびにそう思う。


もちろん高齢の方々にとってクルマは重要な移動手段である。彼らの足を取り上げろ、などと暴言を吐くつもりは毛頭ない。が、今は端境期なのかもしれないが、普通に道を走ることにストレスを感じることが多いのも事実である。他の交通手段を使えるのなら、あえてクルマに頼らない方がストレスレスだし、リスクも低くなる。


とはいえときには大きな荷物を運ばなければならないこともあるだろう。あるいは人数割で考えれば、クルマで移動した方が割安なケースも考えられる。そういう時はレンタカーでも借りればよい。少なくとも都心部で高い駐車場代を支払ってまでマイカーをキープするより、レンタカーの方がコストパフォーマンスは高いはずだ。


もっと頻繁にクルマを使いたい、ならばカーシェアリングが選択肢になる。仮に300万円ぐらいのクルマを買って2回車検を通す(7年ぐらい乗る)のなら、レンタカーもしくはカーシェアリングの方がトータルコストは安いのではないだろうか。


というように考える人が、これから少しずつかもしれないが確実に増えるはずだ。東京などに暮らす若い人たちの間では、クルマを持たない人の方が多いという話も聞いたことがある。もちろん地域差はある。クルマがなければ何もできないところは確かにある。そうした地域では一人一台がキープされるのだろう。


ただし、こうしたエリアでのクルマは完全に足代わりである。だからできる限りコスト(イニシャル、ランニング含め)がかからないクルマがよい。しかも一人一台ということは、基本的に普段乗る時も一人が多いはず。軽自動車で十分だろう。


と考えてみれば、クルマを買いたいという人が1200万人もいるとは思えない。とはいえ、このままトヨタが生産台数を前年対比30%も削減するような状況が続くのは、日本経済にとって非常に困ったことであるのも事実だ。だからといって必要もないクルマを買え、というのもおかしな話だ……。と、話は堂々巡りに陥るわけで、そうなると希望の星は、やはり電気自動車関連の技術を活かしたグリーンエネルギー関連になる、ということなのかもしれない。



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