原チャリと電チャリの謎


29万6000台と31万5600台


どちらかが原チャリで、片方が電動アシスト付き自転車(通称:電チャリというらしい)の国内出荷台数である。さて、多いのはどちらでしょうか?


実は昨年度、遂に電チャリが原チャリを抜いた(日経産業新聞2009年2月10日付1面、元ネタは自動車産業振興協会、日本自動車工業会)。ちなみに原チャリはピーク時の10分の1にまで落ち込んでいるらしい。これは意外である。


生まれて初めて乗った(=自分で運転した)動力付きの乗り物といえば原付である。というか、我々の世代(今年度中に遂に50歳を迎える)にとっては、原チャリこそが自由を与えてくれる乗り物第一号となるのが相場だった。


早ければ16歳で免許を取り(筆記試験だけで取れる)、バイトなり親に借金するなりして何とかお金を工面し手に入れる。もう30年以上も前のことなので正確な相場は覚えていないけれども、たぶん4〜5万円で手に入る乗り物が原チャリだったはずだ。


ソフィア・ローレンが「らったったぁ〜」と、いかにもライトなラテン気分丸出しのフレーズを口ずさんでいたテレビCMを覚えている方も中にはいらっしゃるだろう。その名を確かロード・パルといったんじゃなかったろうか。あるいはパッソーラだったかしらん。


あれでも十分に自由を手に入れることができた。何しろガソリンさえ入れれば、どこまでも走っていけるのである。好きなところに、好きな時間に、誰の助けも借りずに行くことができる。その自由感は『お気楽』としか形容しようのない学生生活のシンボルだった。


それが今では往時の10分の1しか売れていない。ということは、もはや学生さんたちが原チャリに昔程は乗らなくなったということなのだろうか。もとよりラッタッターを愛用していたのは、学生だけにとどまらない。主婦のお買い物にも原チャリは大活躍していたはずだ。であるなら、主婦の方々も今では原チャリに乗らなくなったのだろうか。


と思って都大路を行く乗り物を見るに、確かに原チャリは少ない。というか街の中心部ではあまり見かけない。感覚的な印象では自転車の方が多い。走っている自転車をじっくり観察したわけではないから正確なところはわからないが、その中には電チャリも混ざっているのだろう。


そういえば少し前まで住んでいた奈良の学園前では、四方八方やたらと坂があるために、電チャリを愛用されているお母さん方がたくさんいらっしゃった。記憶をたどってみても、幼稚園や小学校でお会いしたお母さん方の中で原チャリに乗っておられた方はほとんど思い出せない。


いや、ホント。原チャリはいつの間に、こんなに減ってしまったのだ? そして原チャリがピーク時の10分の1と壊滅的に落ち込んでしまった原因は何なのだ? これはちょいとばかし謎である。


とりあえず学園前エリアに限定するなら、原チャリより電チャリ多かったことは間違いなく、さらにちょっと近くのスーパーまでお買い物にいらっしゃるお母様たちは、自らクルマを運転されている人が圧倒的多数派だった。


ということは、もしかすると原チャリユーザーの中の主婦ボリューム層は、自動車にシフトしたということなのかもしれない。そしてもう一つのボリュームユーザーだった学生さんたちも、原チャリを使わなく(買わなく、もしかして買えなく)なったということなのだろうか。


仮に学生さんたちの原チャリユーザーが、30年前と比べて大幅に減っているのだとすれば、それは一体何が原因なのだろう。学生さんたちの経済事情、あるいはクルマが増えすぎて原チャリなんか恐くて乗っていられないという交通事情、もしかしてお巡りさんの取り締まりが格段に厳しくなったという法規制事情あたりがとりあえず思いつく原因だけれど、真相はどこにあるのだろうか。


そういやついでに考えてみると、原チャリのテレビCMも最近は見た記憶がないな。一体、何が起こっているのだろうか?


どなたか、意見をお持ちの方、事情をお知りの方がおられれば、ぜひお聞かせください。



昨日のI/O

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『実践論理思考』高橋俊之
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NPO法人Check・金子健二氏インタビュー記事
京都大学東南アジア研究所松林教授・インタビュー記事

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