見えてきたインフルエンザの問題点


旅行先エリアに一校でも感染校があれば自粛を要請


たまたま今朝、東京で新聞の地方版を読んでいたら、そんな記事を目にした。正確には「自粛要請を解除」となっていたわけだが、ということは自粛要請なるものが本当に都から出ていたことになる。へえ。


関西出張禁止とか、中国地方へ出張するときは必ず飛行機を利用すること。といった冗談みたいな指示が企業では出ているという噂は聞いていた。でっきり冗談だと思っていた。というか、まさかそんなことほんまにはやらんやろと。


そりゃ「関西人はばい菌持ちやから」なんて誹謗中傷は、さすがにウソやろと思っていたし、「このイベントへの、関西からお客様の入場はご遠慮させていただきます」とか、さらには「そもそも関西人に案内状なんか出したらあかんで(とは関東の人は言わないな、きっと)」なんて話も、真しやかに伝わっていたのだけれどあり得へんやろと思てたが。


ぜんぶ、ほんまやったんやね。


修学旅行自粛要請が出ていたのなら、シーズン最盛期の京都の旅館に閑古鳥が鳴くのも無理ない話。結果的に、京都では感染者はごくわずかで収まったし、もちろん旅館・ホテルで感染が起こってもいない。が、これはあくまで結果論である。


仮に予定通り、京都に修学旅行に出かけ、そこで万が一にでも感染したらどうなるか。自粛要請など出ていなくとも、学校の責任者なら旅行取りやめ、もしくは延期を考えるだろう。事情は企業にしても同じだ。どうしても業務に差し支えるのある出張ならまだしも、定例会議ぐらいで関西に出かけていき、インフルエンザをもらって帰ってきでもしたら社内パニックになるリスクがある。


たまたま、今回のインフルエンザはかかっても、みんな軽症ですんだ。しかもなぜか感染者は高校生以下に集中していた。これが強毒性で、誰から構わずうつりまくるような、つまり予想されている鳥インフルエンザだったらどうなるか。


自粛はもっと強固なものとなるだろう。もし、東京で発生し、たとえば一気に何百人かの患者が発生したら、と考えると、完全パニック状態になるんじゃないだろうか。


結局、マスクはもうほとんどの人が外すようになっている。これはあまりにも集団ヒステリー的に関西でマスク姿が増えたこと、それを見てなんか変だと思う人が出てきたこと、ついでにマスクは感染者がすべきものであり、感染防止にはあまり役に立たないらしいことがわかったからだ。


自粛の話、パニックの予想、マスクについての教訓などなど、今回のインフルエンザ騒動から学べたことは多い。ここらで一度(もう、ほぼ収束したという想定のもとでの話だけれど)、次の『本番』に備えたまとめ、総括をきちんとして置くべきじゃないんだろうか。


と振りかえってみるとき、どう考えても心配なことがある。病院の対応だ。京都のある病院などは「発熱された患者さんは、来ないでください」といった意味不明のメッセージがでかでかと張り出されていた。じゃ、どんな人なら、そちらの病院では診察していただけるのでしょう? と突っ込んだりするわけだけれど、実際診察拒否みたいな話はあったようだ。


発熱外来も患者が殺到して対応できなくなったり、病棟も足りなかったりしたと聞く。ほんとにラッキーだったのは、そんなお粗末な対応でも治るぐらいの軽症でみんなが済んだこと。あまり考えたくないけれど、本当に強毒性で感染力の高い鳥インフルエンザが起こったとき、お医者さんが、まずパニックになるんじゃないだろうか。ここ、何とかした欲しいなあと強く思う。


あるいははなから医者なんかアテになれへんから、とりあえず全国民にタミフル一週間分配ってくれるとか。それで、もし「ヤバっ!」と思ったら、タミフルのんで、家でじっとしとれ。ぐらいの思いきった措置の方が、パンデミック状態のときには役に立つんじゃないだろうか。


閑話休題
ところで不要不急の関西出張を禁止した企業さんに聞いてみたいのだけれど、じゃあ普段はどんな用事で関西へ来られていたのでしょうか?



昨日のI/O

In:
東京大学・石崎教授インタビュー
Out:
東京大学大学院セミナー
東北大学川島隆太教授インタビュー記事


昨日の稽古: