2031年の年金システム


年金は2031年に破綻する


2ヶ月ほど前の読売新聞にショッキングな記事があった。日本の経済成長がマイナス1%で推移すれば、あと22年しか年金はもたないらしい。経済成長率はさまざまな要因が絡み合っているから一概には言えないけれど、少なくとも人口が減っていく国が不利なことは誰でもわかるはずだ。


まずマーケットが縮み、働き手も減っていくのだ。当然、経済も成長ではなくマイナス成長となるだろう。もちろん、そのままでいいとは誰も思っていないはずで(本当かな、政府の偉い人とかどう考えているんだろう)、画期的な技術革新で素晴らしい製品を作り、海外に輸出して売りまくれば、よい。


できるかな、そんなこと。


技術革新するためには、その担い手が必要だ。早い話が理系の人材である。が、いま学校教育の現場では理系離れが著しいというではないか。理科の嫌いな子どもたちが増えていて、ということは理系の学部へ進む高校生も減っていくわけで、そうなったら誰が技術革新の担い手となってくれるのだろうか。


加えて、モノ作りを支えている膨大な技術ノウハウの継承にも問題がある。例えば技術の街・東大阪で聴いた話。優秀なベテラン技術者がどんどん、中国や韓国にスカウトされて行っている。東大阪の中小工場で働き続けることを思えば、まず破格の待遇をオファーされることが、その第一の要因だ。


が、技術者はカネだけでは動かない。彼らが動く最大の要因は、自らが培ってきた技術を継承したいという思いだ。人は人に教えたい生き物なのだ。


翻って日本の製造現場に、教えを乞う若手がいるだろうか。居ないとはいわない。若いやる気のある人材を集めるため必死で努力されている経営者を何人も知っている。東大阪を技術のアメ村にしたいとおっしゃっていた社長さんもいた。そうして若い人材を集めようとする経営者はいても、そうは簡単に若手は集まってこない。


つらく、きびしく、きたない。3Kと呼ばれる職場に、今の若い人たちは向かおうとはしない。それよりコンビニで好きな時間に楽に働ける方がずっといいのだ。


ところが中国や韓国などには、教えを乞う若者がたくさんいる。目を輝かせて学ぼうとする人たちがいくらでも集まってくる。彼らにとっては、そうして技術を身につけることが稼ぐためにはもっとも手っ取り早い手段になるからだ。教えてくださいと頭を下げられて、イヤな気がする人はあまりいない。だからベテランたちがどんどん海外に流れ出している。


いずれ気がついた時に日本にはすでに、技術を教えられる人材は枯渇しており、技術を教えてもらいたい若者もいない、なんてことになりかねない。そんな日本が画期的な技術で素晴らしい製品を作り出せるのだろうか。


ということで、とりあえず遅くとも2031年に年金が破綻するという覚悟を決めておいた方が良いのかもしれない。あと22年後ということは、私は71歳である。いつから年金をもらえるのか知らないが(ほんと、何歳からもらえるんだろう)、これまで払ってきた年金分さえ返してもらえる可能性は低い(正確にはゼロに近い)ことになる。


ましてや、これから年金制度に組み込まれる人たちはどう考えるだろうか。「ちゃんと払てや」といわれても、最初からほぼ破綻することがわかっている制度に払うはずもないだろう。となれば今後、年金破綻リスクはどんどん高まり、すなわち新規加入者もどんどん減っていき、年金制度そのものが加速度的に崩壊していく、のかしらん。ほんとに。


ということがすべてわかっているので、厚労省の役人さんたちはできるだけ早くから「そろそろ年金制度、やばいっすよ」なんてことをささやき始めたのかもしれない。そういえば、この記事が出たのはちょうど例のインフルエンザ騒動で、日本がてんやわんやしていた時期だ。


「今なら、そんなに注目されないかもしれない。そして、今いっておけば、だから、もう20年も前から言うてましたやん」って開き直れるものね。で、きちんとしたビジネスモデルを考えた時に、年金制度って本当にどうなっているんだ?


要するに集めた年金をどう運用しているのか。運用益として、どれぐらいの利率を計算しているのか。今後の年間年金収入の推移をどう見込んでいるのか。とシビアに考えれば考えるほど、本当はもう破綻してるんじゃないの、と疑ってみたくなる。


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昨日のI/O

In:
『広報とプレスの仕事をする』酒井富士子
Out:
K社対談記事ラフ原稿


昨日の稽古:富雄中学校武道場

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