恐怖のJ-WESTカード


2670円のための40分


ひっさびさにはらわたの煮えくりかえる思いをした。おそらく血圧も危険水域まで達していたのではないか。ことは切符の払い戻しである。


キッカケは四国の豪雨だ。もちろんJRさんには何の落ち度もない、この時点では。昨日から新居浜に一泊二日の出張に出ていた。昨日は先に大阪で打ち合わせがあり、新大阪から新幹線に乗り込む際に今日の帰りの切符も買っておいたのだ。夏休み中の土曜日ともなれば、四国の特急は結構混むのである。以前、新居浜から岡山までの2時間弱をずっと立ちっぱなし、という目にあったので、転ばぬ先の杖とばかりに切符を買ったのがトラブルの元となった。


予約したのは特急しおかぜである。本来なら8両編成で、先頭の5両が岡山行き、後ろ3両が高松行きとなる。はずが今日に限っては逆、高松行きが先頭5両になるとか駅のアナウンスでいってるではないか。新居浜駅の改札で切符を見せて「この指定席券はどうなるのでしょうか?」と極めてジェントリーに尋ねると「車内で不使用証をもらってください」といわれた。なんじゃそれと思いながらも、それがあれば、どこでも払い戻しをしてくれるそうだ。


列車に乗り込み、早速車掌さんに「不使用証ちょ〜だい」というと「わかりました」とにこやかに答えてくれる。「いや、えらい雨降ったみたいで大変ですな」「そうなんですよ、ご迷惑をおかけしてすみません」「この不使用証があったら、どこの駅でも払い戻しをしてくれるときいたんやけど」「ええ、大丈夫ですよ」といった会話を交わす。


乗り換えの岡山駅でも「特急しおかぜにご乗車のお客様は、改札で不使用証をお受け取りください。指定席券の払い戻しが受けられます」とかいってる。こっちは新幹線の切符はエクスプレス予約ですでに購入済み。あとは券売機にクレジットカードを入れてチケットを手に入れればいいわけだが、それだと岡山までの切符も券売機に飲み込まさなければならない。それでは岡山までの乗車券が回収されてしまう。


これは後で払い戻しを受けるのにちょっとまずくないか、と不審に思い駅員さんに尋ねると、窓口に案内された。そこで再度確認すると、この不使用証と切符(やっぱり回収されてしまうとまずかったのだ)があれば『どこの』駅でも払い戻ししてくれますという。じゃあよかったと安心して新幹線に乗り込み、京都に着いた。


さてさて払い戻しはいくらなんでも新幹線の改札では無理だろうと、地下の改札に行く。京都駅からは地下鉄で帰るから地下の改札が便利なのだ。すると「ここじゃできませんので、中央精算口へ行ってください」といわれ「まあ、しゃあないな」と階段を上った。そして中央精算窓口まで行って事情を話すと「はい、わかりました」といって計算してから「ちょっとお待ちください」である。


奥の上司らしき人に相談して戻ってきたのはいいが、今度は切符売り場に行けという。クレジットカードで買った切符の払い戻しは、この精算窓口ではできないらしい。ここでプチ・ブチッ!


まあ、たいがい面倒やろとは思ってたけどな、予想通りやとかぶつくさりながら、みどりの窓口へ。これが混んでるのだ。行列に並ぶこと15分、ようやく順番が回ったきて「これの精算をお願いします」とあくまでもまだジェントルメン風にお願いする。


「わかりました」と計算を始めた後、こちらの出した指定席券をためつすがめつし始めた担当のお兄さんは、また奥へ。ややなあ、また、なんかいちゃもんつけらるんの? と、ちょいとばかりうんざりして待つことしばし。


戻ってきた兄ちゃんは「申し訳ございませんが、この券はクレジットカードで購入されていて、購入窓口がTisさんになっております。こちらでは払い戻しできません」とおっしゃっるではないか。「はあ? じゃあ、どうしたらいいんですか」「新大阪のTisさんまで行っていただけますか」「は?」


ここ京都なんですけど、新大阪はさっき通ってきたばっかりなんですけど。これでツー・ブチ!


それでも、あくまでも、冷シェイに「あの、私に何か落ち度でもあるのでしょうか。何度も途中で確かめながら、ここまでたどり着いて、さて払い戻しとなった時点で、また新大阪まで電車賃を払って戻れ。そうおしゃっるのなら、上の方とお話しさせていただけませんか(実際には、これよりちょっと強めの口調だったかもしれない)」と申し上げた。


なぜか彼は、あわてて奥の偉いさんの部屋らしいところに駆けていった。ここで待たされること10分。そして宣わく、一緒に戻ってきた偉いさんらしき人に再度、いきさつを説明せよと。スリー・ブチ(=ブチブチブチィー)。


ひとしきりていねいに説明した後「もう一度、お尋ねしますが、私に何か落ち度がありますでしょうか(もしかしたら先ほどよりさらに少しだけ強い口調だったかもしれない)」と付け加えたのだ。すると、その偉いさん氏はかなり面倒くさそうに「もうええわ、現金で払とき」と言った。


これでテン・ブチ(=ブチブチブチブチブチブチブチブチブチブチーーー)である。


思いっきり自制して、冷静にと心の中で3回叫んでから「私の話で何かおかしなところがあれば、どうぞおっしゃってください。いまのお話ぶりだと、まるで私がクレーマーみたいじゃないですか」と、今度ばかりは怒りに震えながら、しかし表面上は逆に氷のような無表情を装って述べた。


偉いさん氏曰く「すんませんな」


それはないでしょう。かなりがっかりだった。それにしても現金で返してくれた2670円、経理上はどう処理するんやろ。まさかとは思うがクレーマー対策費?


ちがうか!


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