ブログは見つけられるもの


自分のブログを持っている37%


全国の20〜50代の男女1000人に聞いたアンケート調査の結果だという(日本経済新聞2009年8月10日13面)。もっともネットで実施された調査であることは前提条件として踏まえておく必要があるが、それはさておき。


一方で何らかのSNSに入っている人は31%。男性はブログを好み、女性はSNSを好む傾向があるそうだ(前掲紙)。なるほど。そういえば初めて書いたブログは、実は『はてな』ではなかった。もう消されてしまったがmixiの方が先で、たぶんビートルズポール・マッカートニーのバンドだった、みたいな内容を書いた記憶がある。


なぜ、mixiだったのか。誰かに誘ってもらったからだ。その時期は2005年の4月頃だった。ネットはずっと前から使っていたし、MLに加わって自分の考えを書いたりもしていたが、自分のホームページを作るのはハードルが高かった。とはいえ、ML体験で、自分が何かを言えば(書けば)、誰かが反応してくれるおもしろさみたいなものは実感していた。


できればホームページを開いて、日記みたいなエッセーみたいなものを書いてみたいとはずっと思っていたのだ。それがmixiなら簡単にできる。じゃ、やってみようと書いてはみたが今イチmixiって使いにくい。じゃ流行り始めていたブログはどうなんだといろいろ試してみた。雑誌などを読むと『はてな』が意外に良いらしいと書いてある。


実際に使ってみると、なるほど『はてなダイアリー』は細かいインターフェイスがよくできていると思った。デザインも好みに近いものがあった。で、4年以上ずっと書いてきている。自分でもこんなに長く続くとは思っていなかった。もっとも中学生の頃から日記はこまめに書いていた方で、途中に抜けは何回もあるもののブログを書き始めるまでの30年分ぐらいの日記があちらこちらにある。そもそも書くことは好きなのだ。


とはいえブログは日記じゃない。人が読むことを前提としているわけだから、単なる日記ではあり得ない。少なくとも自分ではそう思っている。個人的にはブログを書く目的は大きく三つあった。


一つは文章修行のため。書くことを仕事にしたいとずっと思っていたわけで、それなら人に読まれることを前提に書くブログは文章を書く練習になるではないかと考えたのだ。にしては、文章が洗練されているとはまったく言えないのが残念だけれど。


二つ目の目的は考えをまとめること。何かを書くことは、何かを考えることだ。誰かに自分の考えをわかってもらうためにはどうすればよいかと考えることになる。思考に強引に客観性を持ち込むといえばいいか。独りよがりな意見、論拠に乏しい推論などでは当然、相手にされないわけで書く前にきちんと考えをまとめる必要がある。つまり、毎日ブログを書こうと思えば、毎日、きちんと考える時間を持つことになる。これも自分にとってはとても好ましいことに思えた。


さらに、もしかしたらブログが何らかの自分のPRになりはしないか、という淡い願望もあった。ブログを書き始めて半年ぐらいした頃に内田樹先生のブログを知った。先生はずっと前からブログ(当時は日記だった)を書かれていて、その内容のすばらしさに目を付けた編集者から「本を出しませんか」とオファーをもらったと記されていた。


もちろん自分が内田先生のようになれるとは思わないけれど、それでも書き手としての力をいつか認めてもらえるようになるかもしれないと思っていたのも事実だ。だからこそ、余計にきちんと書こうとも考えた。


結果的にはこれまでのところ、ブログ経由でいただいた仕事が何件かある。ものすごくラッキーなことに、ブログを読んでくださった編集者から声をかけていただき、雑誌に記事を書かせてもらったばかりか本まで出していただいた。いま進行している新しいサイトでのコラム仕事もブログ経由。ほんとありがたい限りだ。


「今どき、ブログの一つぐらい持っていた方が良いよ」なんてコメントを見かけることがある。確かにその通りだと思う。ブログのすごいところは、書いていれば『誰かが、見つけてくれるかもしれない』ことにある。例えば、今なら「酒井法子」「覚醒剤」「押尾学」「MDMA」といったキーワードをちりばめておけば検索に引っかかる可能性がある。


これはブログというシステムにプラスしてGoogleさんのおかげだろう。もちろん単純に検索に引っかかるだけでは意味はなく、仮に上記のようなキーワードが含まれていても、それだけでは人に読んでもらえるぐらいの上位に表示されることもないだろう。ただ、たとえ拙くとも自分が一生懸命に考えたテキストなら、それが届く相手はたぶんどこかにいる。そして、そんな相手が検索してくれる可能性がある。


ブログの秘める可能性だと思う。逆にいえば、いくら頭の中にいろんなことを考えていても、それをどこかで引きずり出さなくては誰にもわかってはもらえない。ところがブログに書いておけば、いつか、誰かが検索して見つけてくれる可能性がある。ブログがなかった時代と今を比べてみると、そこには非連続的な違いがあると思う。


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ホームページ、リニューアルしました。
ぜひ、一度見てやってください。
http://www.com-lab.org/
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昨日のI/O

In:
『野蛮人のテーブルマナー』佐藤優
『繁盛店の「ほめる」仕組み』西村貴好
Out:
J社さま取材記事

昨日の稽古: