お店はもうダメなんじゃない?



店を出るまでに40分


京都のとある家電量販店(というかPCショップ)でのこと。先日買ったMacBook Proに関する唯一の弱点、光沢モニターの映り込みを抑えるためにアンチグレアスクリーンフィルムを買いに行った。


さすがMac専門フロアを設えているだけあって、いくつかそれらしい製品が並んでいる。13インチ用も何種類かあるのだが、どうもMacBook Pro用が見あたらない。同じサイズならMacBook用でも使えるだろうとは思ったが、念のために店員さんに聞いてみたのが運の尽きだった。


「あの、これ13インチって書いてあるから、MacBook Proでも使えますよね?」
「あ〜、ちょっと待ってください。確かめてみますから」
といって彼は、展示してあるiMacに向かった。


おぉ〜、27インチのiMac、めちゃめちゃデカとかのんきに感動したのは良いのだが、さて。しかし、ほんとにでかい。でかい上に、モニターが超・キレエ。これが15万で買えるってどういうこと、とか思っているうちにもちっとも埒があかない。彼はなんだか一生懸命調べた上で、電話をかけに行った。


「?」


ネットで調べてたんとちゃうん、と思ったが、それはさておき。店員氏はひとしきり電話でしゃべった後に戻ってきて
「お客様、このタイプはMacBook Proには使えないそうです」
「あっ、そう。ほんなら、どうしたらええの?」
MacBook Proに使えるタイプは、ただ今在庫が切れております」
「そやから、どうしたらえんの(わしは、それが必要やから聞いてるのやけど……)」
「どうしましょう?」
「(はあ、それ考えるのがあんたの仕事ちゃうんかいな)取り寄せてくれる?」
「お取り寄せですか?」
「(嫌なんかいな)そう」
「ちょっとお待ちください」
と言い残して彼は、また電話をかけに行った。


待つことしばし(以上、たぶん5分ぐらい)
「お客様、お取り寄せには少しお時間がかかるようです」
「(だからぁ、必要だから頼んでるんやって)どれぐらい?」
「たぶん一週間から10日ぐらいと言ってますが」
「(わかったから)それでええから」
「もう、よろしいということですか?」
「(日本語通じひんなあ)いや、頼んで」
「ご注文と言うことですね」
「………(首縦振り」
「少々、お待ちください」


もう十分待ってるんやけど。見てると彼は、すぐに電話をかけるのではなく、先輩らしい店員に何か話をしている。時々、こちらをちらっと見たりする。いややなあ、わしのことクレーマーかなんかと思とるのやないやろな。わしは善意の客やで。それとも、なにか、取り寄せ注文頼むような客は、店側から考えてコストパフォーマンスが悪い客やから、できるだけ注文を断念させるような対応をせえ、とでも教育されているのだろうか。


やがて彼は、もう一度電話をかけた。そして呼びに来た。
「お客様、お取り寄せの場合は、先に代金をちょうだいすることになっております」
「わかったから(必要から買うていうてんねん! 金はちゃんと払うわい!)」
カードで払おうとすると
「お客様、当店のカードはお持ちでしょうか?」
「いや」
「500円でお作りできます。今からポイントがつきますが、いかがでしょうか?」
「いらん(3000円ぐらいの買い物でどんだけポイントつくっちゅうねん! ていうか、ここにリピートすると思てんのんか)」
「では、こちらにご記入いただけますか?」
「どこ、書いたらええの」
「太い枠の中を、全部お願いします」
ギチギチギチ(ペンを紙に押しつける音だとご理解ください)


「これでええ?」
「ご連絡にご都合の悪い時間はございますか?」
「はあ?」
「当店は11時から20時までが営業時間となっておりまして、その間にご連絡を差し上げるのですが、ご都合の悪い時間があればおっしゃってください」
「(どう答えたらええのやろ)特にないけど」
「緊急連絡先とご自宅と、どちらにおかけすればよろしいですか」
「そら、携帯電話でしょう」
「かしこまりました」


彼に声をかけてから、ここまで来るのに40分。ネットで探して注文したら、たぶん5分で終わっていたのに。そういう時代になっているんだなとつくづく思った。もちろん、どこのお店もみんな、同じというつもりはないけれど。


そういう時代とは、ネットとリアルのショップの使い分けが必要だと言うことと、リアルなショップで何か頼む場合は、まず店員さんのことを見極めてから声をかける必要があるということ。勉強になりました。


昨日のI/O

In:
『建築に夢をみた』安藤忠雄
Out:
某上場企業N社トップメッセージ&特集記事

昨日の稽古:富雄中学校武道場

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