知事への個人献金が変えるもの




一口1000円から


楽天のサイトを通じて、知事さんに個人献金できるようになる。楽天政治の『LOVE JAPAN』というサイトでは以前から国会議員への献金を受け付けていた。そこで今回新しく知事にも献金できるようになり、とりあえず橋下徹大阪府知事古川康佐賀県知事がその対象となった。


これ、ものすごい変化を引き起こすアリの一穴になるんじゃないでしょうか。


たった1000円でも自腹を切ることの意味が大きいと思う。わずかとはいえ献金することで、政治に対する関心が高まることは確実。それも国政ではなく都道府県政対象というのがすばらしい目の付け所だ。自分の意見が何となく通りそう、目に見える形で変化を起こしてくれそうな人物を応援できそう。そうした応援を通じて、実際に変化を感じることもできる。


そんな流れが生まれたら、どうなるだろうか?


今回の民主党による事業仕分けでも、すでにたくさんの人が、今までいかにいい加減に予算を使われてきたか、に気づいた。税金が一部の人の懐を潤すために使われている事情は、国も地方も変わらない。むしろ、地方の方がえげつないことになっている可能性もある。


そうした利権構造をぶっつぶそうとがんばっているのが、若手の知事さんたちである。彼らは、それはそれは強固で陰湿な既存利権の抵抗勢力と戦わなければならない。その心意気や良し、だからこそいずれも選挙で圧勝して知事となっているのだ。その知事を、さらに応援できる。しかも手軽に。


選挙で投票するだけではなく、実際に献金まですれば応援している気持ちはさらに強まるだろう。その気持ちが、さらに知事を支える。このサイクルが回りはじめたらどうなるか、ということだ。


それでも抵抗勢力が簡単に一掃されることはないだろう。彼らだって必死である。先輩たちはさんざんいい目を見てきているのに、なぜ自分たちだけがババを引かなければならないのかとか、ここで既得権益を手放してしまえば人生終わりだ、ぐらいの気持ちで粘ってくるだろう。


そのねちっこい抵抗を打ち破れるかどうかは、ひとえに知事の根性に懸かっている。そして知事に根性を付けさせるのが、支持者の実体を伴った支持だ。それがあれば自治体に新しい血をどんどん入れて、その人たちが持つ新しい知を活用した改革だってできるだろう。そうなれば公務員システム自体の改革につながる可能性さえある。


そこには新たな雇用が生まれるかもしれない。公務員が楽しい仕事というイメージが醸成されれば、若者たちも進んで学び、公務員をめざすようになるかもしれない。何しろ公務員だって流動性のある職場になり得るのだから。


とまあ、そこまで一気に進むかどうかはわからないとしても、少なくとも地方自治のあり方が変わるだろうし、続いては公務員像も何らかの形で変化するだろう。みんなが自分が住んでいる場所の政治に関心を持つようになるのだから。


動いているのは知事だけじゃない。実は市レベルの改革がいま、もっとも活発になっている。そのさきがけとなったのが佐賀県武雄市の樋渡市長だ。この方の市政改革は極めてユニーク、かつ本質を突いている。直近では全国自治体で問題化している市民病院問題を、見事な思い切りと自らの職を賭ける意気込みで解決して見せた


武雄ってどこだ?と思われるぐらいの田舎町なのに、人口を増やしてもいる。全国の都道府県で初めて「営業課」を市役所に作り、市の売り込みに力を入れてもいる。市長自ら先頭に立ってレモングラスという特産品を育て上げ、それをトップ営業で東京はもちろん台湾にまで売りに行ったりもする。


そうした自由な姿を、生き生きと働く姿を、それが市民から強く支持される姿を見て、自らを賭ける職業として市長を選ぶ若い人が増えている。こうした市町村レベルからの波とがうねりとなり、その先頭に若手改革派知事が乗って動き出せば、利権に巣くう人たちの砂の城を一気にぶちこわせるのではないか。


そのとき、日本は本当に救いのある国になる。そんなことまでを期待させる、小さな穴。それが今回の楽天献金システムだと思う。


昨日のI/O

In:
西成活裕東京大学教授インタビュー
『漢字』白川静
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