グランプリ
- 作者: 富坂聰
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2009/12/05
- メディア: 単行本
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R+さんのコンテストで『中国報道の「裏」を読め! (COURRiER BOOKS)』についてレビューを書いたら、グランプリをいただきました。
【グランプリ】
だそうです。【選評】にいわく
日本人が抱いている中国に対する偏見を鋭く指摘し、
情報の裏を読むことの大切さを認識させるレビュー。
とほめてもらいました。とってもうれしい。
該当ブログは「マスコミ報道の光と影(→ http://d.hatena.ne.jp/atutake/20100117/1263707963)」。ぜひお読みください。
中国は思い入れのある国です。もう亡くなった父親が子ども時代を過ごした土地、知人が単身のりこんで始めたビジネスを手伝い、あちこち駆け巡った土地、環境関連の仕事でとんでもない田舎街の発電所に出かけ、所長さんに通訳を通じて取材したこともある。
今回のレビューはタイミングが良かったことも受賞の原因でしょう。ちょうど、このレビューを書く前に読んでいたのが『貧者を喰らう国/阿古智子』。これもレビューで取り上げた本と同じく、中国内陸部の村に何ヶ月も暮らし、村人達が受けている理不尽な仕打ちを目の当たりにして書かれた一冊でした。
中国は一体どうなっているのか。
知人の仕事を手伝って何度も中国へ行っていた頃も、その激しい格差は目にしていました。中国でビジネスを展開する友人に連れられて訪れた地方都市では、一泊2000円ぐらいのホテルに宿泊。もしかしたら外国人宿泊不可だったのかもしれないけれど、彼は中国語ばりばりだからこちらが外国人であることはばれない。そんなホテルは、北京や上海で日本の観光客が泊まるところとは、設備も環境も違います。
もちろん、そんなホテルでも、内陸部の貧しい村に暮らす人たちからすれば、一生泊まることなどできない高嶺の花なわけです。そうしたホテルのまわりで朝食を取れば、日本円にして30円ぐらいで済む。衛生面がどうなのかはわからないけれど、味は悪くない。その辺の人が普通に食べているものだから、お腹を壊すわけでもない。貨幣価値にはそれぐらいの差がある。
その中国で開かれたオリンピックの開会式には、正直に感動したし、北京の町並みの一部には高級ブランドショップが並んでいること、そのファッションストリートを闊歩する人たちのスタイルがいきなり洗練されてしまったことも知っています。あるいは上海のオフィス街では、中国語に混ざって英語が普通に飛び交っていて、ここは未来都市だと思ったこともある。中国も確実に発展し(毎年8%の経済成長を続けているのだから当然だけれど)、全体的に豊かになっている。
と思っていたら、実態はまったく違っていた。まだまだ貧しい。むしろ、一部の貧しい地方では、その貧しさが以前よりひどくなっているのかもしれない。レビューに書いたのは、日本から見える中国像についてですが、中国の実態が一筋縄で理解できないことは間違いない事実でしょう。
そうした隣人が、それでも確実に経済成長を遂げ、GDPで日本を抜いて世界第二位の経済大国となり、米国債を世界一持っている。そして自動車販売台数も世界一となり、やがてはエネルギー消費も食料消費も世界トップとなる日が来る。
そのとき日本は、どうするのか。中国の実態を少しでも知っておく必要がある。そのためには日本のマスコミだけに頼っていては、真相を見誤る。改めてそんなことを考えました。
昨日のI/O
In:
『論文・プレゼンの技術』河田聡
大阪工業大学様取材
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