超一流の思考法2

BBT on DVD 大前研一ライブお試し版 1,050円

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このエントリーは、R+さんから送っていただいた献本(DVD)『BBT on DVD 大前研一LIVE』についてのレビューです。


「もし私が○○だったら」


ビジネススクールケーススタディでは、こうした問いに対する答えを求められる。例えば「あなたは、1960年代、アメリカに進出した当時のホンダのマーケティング責任者だとします。あなたなら、どのようなマーケティング戦略を立てて、アメリカの二輪マーケットに新規参入しますか?」といった案配だ。


このビジネスケーススタディMBAプログラムとして初めて導入したのは、確かハーバードのビジネススクールだと聞いた覚えがある。実際のテキストにはきめ細かな資料に基づいたストーリーが書かれている。当時のアメリカの二輪マーケットがどんな状況だったのか。競合メーカーの売上であったり、あるいは広告戦略だったり、代理店の展開状況といったデータがきちんと記されているのだ。


そうしたデータを分析するのが、ケーススタディのイロハのイ。いわゆる3C分析や4P分析をするわけだ。ここまでは極端な話、きちんと授業を聞いて分析手法を学んでいれば、まあ誰でもできる。問題はこの後である。


状況分析に基づいて、戦略を組み立てる。ここが難しい。なぜなら、全人格的能力を求められるから。きちんと状況分析をすれば「こうやれば良いのではないか」という方向性ぐらいは、何となく見えてくるだろう。ポイントは、その自分の思いつきを『否定』できるかどうか。これが思考を何段階も深めるためには必須のプロセスとなる。


つまり、自分が何となく思いつく程度のことは、誰だって何となく思いつくレベルに過ぎない、ということ。それでは勝てない。勝つためには「えっ! そんなやり方があったのか」と誰もが驚くようなアイデアをひねり出さなければならない。これを外側からみているだけの人は『発想の飛躍』とか『クリエイティブ思考』とか呼ぶ。


しかし、そのとき本人の頭の中で行われている作業は、徹底した『粘着的自己否定』の繰り返しである。飛躍という言葉が持つ颯爽とした、いかにも軽やかなイメージとは、対極の世界である。あえて言葉にするならねちねち、じゅくじゅく、いじいじといった表現がぴったり来る世界だろう。


何か一つ方向性を考えては、それを否定する要素を列挙してみる。否定するためには、その前にともかく何かアイデアを考え出さなければならない。ここは一人ブレストの世界である。この一人ブレスト&自己否定の繰り返しが脳みその筋トレになる。この筋トレは確実に脳を鍛えてくれる。脳みそ筋トレを繰り返すことで、考えるべき方向性・パターンを身に付けることができるのだ。


すると考えるべきテーマは毎回違っても、同じように考えていくことができる。正面からぶつかってみて、反対側に回ってみて、斜め45度上から眺めてみて、まったく逆から考えてみてと一つのテーマを、さまざまな視点から考える方法論を身に付けることができる。


そこに知識の蓄積が加わることによって、短時間で、正解群の一つにたどり着けるようになる。その実例を大前さんは実に鮮やかに見せてくれる。


大前研一LIVE 2010年3月7日号』のRTOCS(リアルタイム・オンライン・ケーススタディ)のテーマは「もしあなたが、観光庁溝畑宏長官なら、どうやって日本に3000万人の観光客を呼び込むか」。


ちなみに現状は09年700万人弱で、これは08年の835万人から世界的不況の影響を受けて大きく落ち込んでしまった。ここから2025年に3000万人を呼び込むところまでもっていきたいというのが、観光庁が描いている餅だ。世界一の観光大国はフランスで年間8000万人ぐらい、アジアなら中国が5300万人でトップ、日本はアジア6番目だ。


なぜ日本に人気がないのか要因を分析したデータもある。こうしたデータを元に、では大前さんはどういう解決策を出してくるのか。答えはぜひDVDをみていただきたいのであえて伏せておくが、ヒントは『ガラパゴス』である。ガラパゴスといえばネガティブイメージしかないが、発想を変えればガラパゴスが強みになり得るのだ。この発想の転換の鮮やかさが大前さんのすごさだろう。


では、どうすればいいのか。ガラパゴスの強みかとは何か。ぜひ、このエントリーを読まれた方も、少し考えてみていただきたい。もし何か思いつかれた方は、コメントを寄せていただくなりメールを送っていただければ、大前氏の回答をお教えします。



昨日のI/O

In:
『エネルギー・環境・経済システム論』山地憲治
Out:


昨日の稽古: