iPad=新しい販売チャネル戦略


2011年は約140万台


前年対比2.8倍の出荷台数が見込まれるという。タブレット端末である。タブレット端末といえば、元祖iPadだが、最近はいろいろなメーカーがiPadもどきを出してきている。ドコモからのギャラクシー・タブもそうだが、気になるのは、やはり「目の付けどころがシャープでしょ」のガラパゴスだろうか。


とはいえ、ギャラクシー・タブはともかくガラパゴスでは、厳密にはiPadのライバル機種とはいえない。なぜなら、iPadApp Storeのような組み合わせがないからだ。ガラパゴスは基本的には電子書籍を読むためのデバイスに過ぎない。一方iPadはいろんなことができる画期的なマシンである。もちろんコンピュータとしても使える。


根っからのMacファンとしては、iPadガラパゴスを並べてくれんなよな的イントロとなってしまったのだが、本題がそこにあるわけではない。


本題は、イオンがガラパゴスベースの端末を通販用に売り出すというお話である。

イオンがシャープなどと提携し、主婦や高齢者が使いやすい多機能携帯(タブレット)端末を開発・販売することが分かった。インターネット経由で注文すれば商品を即日配達するイオンの「ネットスーパー」にワンタッチでつながるようにする。今秋から全国のイオン店舗で販売し、初年度に5万〜6万台の売れ行きを見込んでいる(日本経済新聞2011年2月15日付朝刊9面)


たぶん、どこかがやるだろうとは思っていた。が、ガラパゴスでやってくるとは思わなかった。本音で言えば、イオンとしてはiPadでやりたかったんじゃないんだろうか。でも、Appleは取引条件が厳しいと聞くし、ソフトバンクとの絡みもある。仕方なくシャープ&NTT西日本と組んだと推察する。


記事の最後に次のような一文がある。

イオンはタブレット端末は高齢者らにも受け入れられやすいと判断、同端末を通じてネット通販を強化する(前掲紙)


この事例を、少し引いて俯瞰的に見るなら、GMSによる新たな販売チャネル開発と見ることもできるだろう。この端末を買ってくれたお客さんとイオンは、ダイレクトにつながるのだ。お店をお客さんの家の中に持っていく、と考えても良いのかもしれない。であるなら、その端末(=顧客自宅内ショップ)の価格が気になるところだ。


これも記事によれば5万円前後より安く設定するとある。どれぐらい安くするのかは不明だが、3万円とか2万円のレベルではないようだ。もしそうなら、ここに後発が付け込む隙がある。


思いきって、iPadを無料で配布すればどうなるのか。タブレット端末のターゲットは何も高齢者だけに絞る必要はない。一家に一台iPad作戦である。お父ちゃんが仕事に持って行ってしまうのは、家族が使えなくなるからだめだけれど、子どもが学校に行っている間に、お母ちゃんがiPadで買い物するのはありだろう。


となればネット通販に限る必要はない。iPadならウェブチラシだって、スムーズかつスマートに見ることができる。これをばんばん配信すればいい。しかも、個別客の登録ニーズに応じた商品構成で見せることだって、これからはできるはずだ。「お店に行ってみようかな」と思わせる仕掛けを盛り込むことだって簡単である。


子どもが学校から帰ってきたら、iPad for Kidsの時間である。お勉強に使って良し、ゲームなどで遊んで、またとても楽し。というのがiPadの魅力だ。このあたりの多用途性がガラパゴスiPadの決定的な違いである。もちろん、おじいちゃん、おばあちゃんのところにもiPadを一台、届けておこう。これでおじいちゃんたちは、かわいい孫とテレビ電話でお話しできる。


めちゃくちゃ喜ばれること請け合いじゃないだろうか。これぐらいの使い方ができるなら、通信費ぐらいは、快く負担してくれるのではないか。とすれば、あとはiPadを無償配布するためのイニシャルコストを、どうやってひねり出すのか。一世帯あたり原価にして3万円ぐらい(交渉によっては1万円ぐらいまで下がる可能性は十分あるだろう)の先行投資になる。


iPadを配っておけば、この先、紙のチラシは未来永劫に渡って不要となる。ということであれば、一般的な減価償却期間ぐらいのサイクルで考えれば、十分に採算が合うのではないだろうか。



昨日のエントリーでご紹介した勉強会
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よろしかったら、ぜひ、お越しください。

■勉強会詳細とお申し込みはこちら↓
https://www.insightnow.jp/communities/application/93



昨日のI/O

In:
『論理的な文章の書き方入門』飯間浩明
Out:
阪神タイガース矢野燿大氏インタビューメモ
京都府立医科大学・西田教授インタビューメモ

昨日の稽古: