家の前に消防車


消防車が7台


仕事場から歩いて家に戻る途中、一方通行の通りを消防車が逆走してくるのが見えた。その時、歩いていたところと消防車が向かってくる間に、私の家がある。と、さらにサイレンの音。


今度は大通りから消防車が入ってきて、私を追い越して家の方に突っ走っていった。サイレン鳴らしっぱなしである。またかいな、と思いましたよ、最初は。つい一カ月ほど前にも家の近くの居酒屋で、ちょっとしたぼや騒ぎがあったばかり。


その時は店のガス栓を閉め忘れていたとかで、ガスのニオイが漏れ出し、隣のマンションの住民が通報したという。狭いとおりに何台も消防車が入ってきて、結構な騒ぎになった。もちろん結果的には何もなくて良かったわけだが。


で、またかと思ったら、どうも様子が変である。私たちに向かってくるように通りを逆走してきた消防車が家の近くで停まっている。もう一台、大通りから曲がってきた消防車も、私を追い越すと家の付近で停まっているではないか。まさか!


走っていくと、うちの前に消防隊員が集まっていて、ホースを伸ばしている。が、もちろん火は出ていない。


「何ですか?」
「屋上から火が出ていると通報がありました」
「はあ?」
「近くのマンションの住民からの通報です。屋上を見せてください」


何がどうなっているのか、わけわからない。屋上で火を出しそうなものがあるとすれば、旧式ガス・ヒートポンプ式冷暖房機の室外機だ。でも、これは最近メンテナンスをしたばかりだ。あと、燃えそうなモノは木製の犬小屋があるが、そもそも屋上には人が上がることができないはず。


消防隊員と一緒に、一気に屋上まで駆け上がってみると………。炎などはどこにもない。当たり前だけれど、ホッとする。見間違いがあるとすれば、室外機から上がっている蒸気を煙と間違えた可能性はあるはずもない。だって、まわりに建っている他のビルの屋上にある室外機も、みんな同じように蒸気を吹き上げている。


消防隊員さんも納得である。


で、階段を下りていくと、今度は警察の方がお二人。とりあえず現場検証をさせてくれと。この方たちは「屋上は消防が確認したんですね」とたずねられ、「ええ」と答えると納得して下りて行かれた。


と思うと、続いてまた別の消防隊員が「火災受信機を見せてくれ」と。わが家は元々、商業用のビルだったために火災報知器があり、非常用階段の表示灯があり、さらには居室内に火災受信機まであるのだ。これを確認して帰る必要があるといわれて奥の和室にご案内。


どこをどうチェックしても何ごともない。ということで、納得してお帰りになられた。今回初めて知ったのが、消防車一台ごとに現場調書を書かなければならないらしいこと。出動記録なのだろうが、ご苦労様である。


それにしても、どこの、どなたが見間違われたのだろうか。消防の方は「通報者確認できるか?」「いや、携帯電話からやったらしいから無理ですわ」みたいな会話をされていた。


という暮れの一騒動でした。あ〜びっくりした。そして、何ごともなくて良かった。もっとも、お尻に火が点きそうな原稿は何本か抱えているので「お前、はよ書かんと、燃えてしまうぞ!」という警告だと受け止めることにしよう。


これで、またまた災い転じて福となすのだ。


昨日のI/O

In:
『デフレの正体』藻谷俊介
Out:
マーケティング本見本原稿

昨日の稽古: