何歳まで歯を守れるか


歯磨き粉に1000円


実は、高いとは思わなかった。正確には、歯磨き粉の価格など何も知らなかった。だから、1000円ぐらいする歯磨き粉が高いものだと、自分で買ってみて初めて知った。この手の歯磨き粉がCMなどで広告されることはない。その理由を考えてみるのも、面白いのだが、ここはひとまず措いておく。


普通の歯磨き粉は高くても500円までだ。実際、自分で買ってくるまでは、その歯磨き粉で歯を磨いていた。歯磨きは割ときちんとやっている方だと思う。その理由は、以前このブログでも書いたように、ひたすら歯医者が怖いからだ。あのチュィ〜ンとうなるドリルの音を聞いただけで、体が強ばってしまう。息子が小学校の頃、一緒に歯医者に行って「お父さん、めっちゃ緊張してたな」と指摘されるほどだ。


だから虫歯になっちゃいけない。そのためには食後の歯磨き・はみがき、とばかりにせっせと磨いてきた。ちゃんと普通の歯磨き粉をつけて。ところが老化は確実に口の中にもやってくるようで、平均すると1っヶ月おきぐらいの間隔で歯茎が腫れる。歯槽のうろうではないのだが、赤くなる。


こんなときは「そこを特にていねいに、膿んでいる血が出るまでしっかり磨いてください」と、以前通っていた歯医者で教えられた。言われたとおり、腫れが出るたび、せっせと磨いていた。が、あるとき新聞か何かで「安物の歯磨き粉をつけて、歯をごしごしやっていると歯が薄くなる」と書かれた記事を目にした。


えっ! あかんのん、ゴシゴシしたら?


特につぶつぶ入りで、磨いたあとさわやか感のあるタイプがいけないという。使っていたのは、まさにこのタイプである。記事が薦めていたのは、ちょっとばかり高いけれども、歯を傷めない歯磨き粉。500円が1000円になったとしても、一回歯磨き粉を買ったら一ヶ月は使うのだから、一日あたりで考えればたいした額じゃない。


そこで高いタイプに変えてみたら、一つだけ、明らかな変化が起こった。歯茎が腫れなくなったのだ。毎月一回、かなりの精度できちんとやってきていた歯茎腫れから解放された。これと歯磨き粉を変えたことの間に因果関係があるのかどうかはわからない。ただ、楽になったことは確かである。


この調子でいけば、80:20をなんとか保てるかもしれない(80歳まで無事に生き延びることができればの話だけれど)。とりあえず52年間で失った歯は、親知らずが二本だけ。怖い虫歯になることなく、天寿を全うしたいと思う。


少しだけマーケティング理論的に考えるなら、歯磨き粉の中核価値と実態価値は、ユーザーの年令や嗜好性によって変わる事例として説明できる。歯をきれいにする、口臭を抑える、虫歯を防ぐことに加えて、シニア層には歯を長持ちさせることも価値になるということだろう。


昨日のI/O

In:
『第1感』マルコム・グラッドウェル
Out:

昨日の稽古: