カレーに春を感じた
日替わりカレー・白身魚フライ入り450円
『太陽カレー』さんである。なかなかお昼時に京都にいることがなく、たまに居ても締切りに追われている。故に、行きたくても行けない。阪急にのってしまえばわずかに二駅、バスなら停留所の数にして5つぐらいの近さなのに。
近くて遠いのである。だから、今日はお昼にカレーを食べたいと思っても、なかなか西院まで辿りつけない。のだが、だいたい3ヶ月に一度は、どうしても『太陽カレー』を食べないと、なんか調子が良くない体になってしまったようだ。そこへもってきて、昨日の朝は、フェイスブックでこれでもかというぐらい大量の玉ねぎを煮込んだソースの写真がアップされていた。丹誠込めて作られたカレーが、どれだけおいしいか。
これは行かねばなるまい。
決意を固めたのである。そこで丸太町橋までひとっ走りしてお腹をすかせ、シャワーも浴び、身ぎれいにした上で出かけた。まず席について、驚いた。足元があったかいのだ。何かと思ってみると、小型の温風機が設えてある。私が着いた席は入口に近いところ。おそらくはすきま風が入ってきたり、暖房が届きにくかったりする席なのだろう。そこにはちゃんと温風機があり、足元をやさしく温めてくれる。こういう気配りをする人が創るカレーである。美味くないはずがない。
2月22日(ゾロ目は縁起が良いのだ)の日替わりカレー、一等上に書かれているのが「ふきのとう・かぼちゃ・トマトのカレー」である。白身魚フライをつけて450円。ワンコイン以下である。これをお願いする。そして、出てきたのがこちら。
ふきのとうは見えないが、かぼちゃにトマトが乗っかっている。お皿の手前辺りに、なにかが入っている。そこから食べてみた。ふきのとうさんがいた。あっ、幸せを感じた。カレーを食べて、何の幸せか?
春を感じたのだ。
ふきのとうのほろっとした苦味を、やさしく包みこむカレーのうまみ。春の味覚ですよ、これは。日替わりカレーの味覚のハーモニー第一楽章である。続いてお魚のフライをいただく。そもそも『太陽カレー』さんは、夜は天ぷら屋さんになるお店だ。だから揚げ物には一家言ある。テクがある。気持ちが入っている。当然魚のフライは、普通のカレー屋の魚フライとは違うのである。
衣が違う。魚のほくほく具合が違う。白身のあまみが違う。もうわかっているのだ。オーナーの背戸さんが、カレールーをかけられることを計算して、衣の厚さを加減し、揚げ方に工夫を凝らしていることは。だから、こんなにカレーにマッチした味わいのフライになるのである。味覚のハーモニー第二章である。
さて、次にかぼちゃに行くか、トマトに手をつけるかが迷うところである。しかし写真をとくとご覧頂きたい。かぼちゃにトマトが乗っかっているではないか。これは読まねばならない。主のもてなしの心が、この図に込められているはずだ。利休なら、きっとそう考える。
ということは、かぼちゃの上に乗ったトマトと共に、カレーを味わえば良いに違いない。試してみた。これがすごい。トマトは少し酸味があり、かぼちゃはほくほくの甘み、そこに『太陽カレー』のうま辛味が混ざり合う。カレーは温か、かぼかぼちゃはほんのり温か、トマトは少し冷たい。味わいの差に温度差が加わり、口の中でおいしさが踊り出す。
「あっ!」とか「わゃっ!」と声が出そうになる。これを何といえばよいか。言葉を探すが、見つからない。
このカレーを食べて、今日一日、元気にお過しください。
そんな気持ちが、体の中をほっくり温めてくれる。背戸さんのお人柄カレーというしかない。
二切れ入っているかぼちゃは、あえて厚みを変えて切ってある。これにも意味があるのだ。わざわざ面倒な切り方をするのも、おもてなしの心が込められているからだろう。ほんと、あったかくて、うれしくなって帰りました。
ごちそうさまでした。
昨日のI/O
In:
『はじめての認知療法』大野裕
Out:
MSN原稿
リガクル原稿
昨日の稽古:
ジョギング