変えると見える


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2月22日までと、それ以降で大きく変わった。2月22日までの53日間では、わずか1日しかなかった。ところがそれ以降の14日間では12日もある。断酒日である。昨年は、ものすご〜く暑かったがゆえに7月、8月、9月に12月がアルコール皆勤賞であった。いい加減、飲み倒してきたといえる。


といって、木屋町あたりをうろつくわけではない。祇園に繰り出せる身分でもない。とんでもない。毎晩飲むとはいえ、極めてつつましい『おうち酒』がほとんどである。外で飲むのは、週末のThe「今週も頑張ったからちょっとご褒美のお外晩ご飯」のときぐらい。それも鉄板焼き屋さん(ご近所・たちばなさん)とかメチャウマ京野菜バール(歩いて5分のunoさん)とかに行くときぐらいが関の山だ。


近くに何やら雰囲気の良さそうなBarもあったりするが、そんなところには間違っても足を踏み入れたりしないのである。その代わり、原価で楽しめる家飲みではちょいとばかり量が進む。ビールから始まり、ワインを一本、とどめにウイスキーハイボール)か焼酎(冬はお湯割りが多かった)、時にはブランディ(これはストレートですね)をたしなむ。正確にはぐだぐだ呑む。


そのために、夜も9時を過ぎるとたいていはパッパラッパーと化し、横になるやいなや深い眠りに落ち、それが故に朝の(夜中のといった方がいいかもしれない)3時ぐらいには目が覚める。そんな毎日を送っていたのだが、さて。


遂に長年の深酒がたたって、肝臓を痛めてしまいドクターストップがかかってしまった、わけではない。幸いなことに、ガンマGTPは100のあたりで安定している。ワンハンドレッドクラブと言っても、まだまだかわいいものだ。もちろん、このままの飲酒量を続けた場合に、どうなるかは定かではない。だから、いつかは、減酒、ぐらいには思っていた。


しかし、断酒したのは、そんな健康上の理由からではない。ただ、ふと思い立って、何かを変えようと考えたからだ。


これが例年なら、本当は正月一日に、よし今年はこれこれこういうことをやるのだ、だからあんなこと、こんなことをしていちゃいかんのだ、時間は有限なのだ、残された時間は短いのだ、さあ、今年こそ………。と決意はするものの、たいていはせいぜい七日坊主ぐらいに終わるのが常であった。


ところが、今年はやんごとなき事情により、年末年始ノンストップ原稿書きマシーンと化していた。30日までフル操業体制で書き、大晦日に書き、元日にも書いた、二日からは通常営業体制で書いていた。例年ならこの時期は仕事も冬枯れする期間であり、よって年明け早々の売上は落ち込むのが常だから、仕事があるのはなんともありがたいことである。ただ、恒例となっている年始の誓いを立てられなかった。ついでにいえば年賀状を出すこともかなわなかった(賀状を頂いた皆さま、ごめんなさい)。


そんなドタバタ状態で新しい年になだれ込むと、ありがたいことに、またあれやこれやと仕事をいただき、取材に駆けまわり、とあたふたしているうちに、ふと気がつくと2月も終わろうとしているではないか。「2月が終わる? ほんまかいな」と我に帰った次第。もう2カ月が過ぎてしまったかといささか焦り、同時に、こいつは絶好のチャンスではないかと思いついたのだ。


何が良いのか。


今から何かを変えれば、もしかしたら、七日坊主より長続きするのではないか。ひょっとすると、今年は本当に何かを変えることができるのではないか。そんな甘い考えが湧いてきたのだ。タイミングもよし。エントリーしている京都マラソンまで、ちょうど残すところ20日ほどである。これからアルコール抜きでコンディションを整えれば、完走できる可能性が一気に高まるのではないか。


さらに、たまたまその頃にあるちょっとしたイベントへの願掛けにもなる。よし、とりあえずマラソンまでは断酒しようと決めた。そして酒を抜いてみると、これがすこぶる調子が良い。だらだら飲みながら、おつまみを食べたりしないので、体重だってぎゅっと絞ることができる。


アルコール抜きで眠りにつくと、睡眠の質が大きく向上した。布団に入り気を失ったと思ったら朝である。目覚めのすっきりしゃっきり具合は、シラフならではの爽やかさ。それより何より、夜の時間の密度が上がった。何しろ晩ご飯が終わっても、酩酊していない。酒漬け時代には毎日2時間ほどは、あってないような時間だったのが、今や一日24時間すべてが自分のコントロール下にある。


だから、仕事を続けることができる。そのために床に入る時間は遅くなり、引いては朝起きる時間もいささか遅めになっているが、仕事の質×量は飲酒時代を上回っているだろう(であってほしい)。


しかも、秘かに恐れていた「おれ、もしかしてアル中ちゃうん?」疑惑も一掃された。じつは飲まなくても手が震えたりはしないのである。と言いつつ、サッポロ「プレミアムアルコールフリー」を毎日楽しんでいる。ほんとに良くできていますね、最近のノンアルコールドリンクは。ともかくマラソンまであと3日である。


が、先日、ゴールからスタートまでクルマで下見してめげましたね。このコースを関門に引っかからずに完走するのは、しかも後ろのほうからのスタートなので出走時点ですでに15分は経っているであろうへっぽこランナーには、相当な難題である。


どうなることやら。



昨日のI/O

In:
『呪いの時代』内田樹
Out:
某大学取材原稿
某原稿

昨日の稽古:

ジョギング