ダイエー赤羽のポジショニングと4P


50歳以上が43%


商圏人口約12万人、約5万8千世帯のうち、シニアに多い1〜2人世帯が72%を占める(日経MJの新聞2012年4月4日付5面)。商圏人口のほぼ半数が50歳以上で、7割が1〜2人世帯、これから超高齢化する日本を象徴するような人口構成だ。東京都では増え続ける老人単身世帯への対応が、重要な行政課題となっている。


未来を予測するのは難しいが、一つだけ確定した未来像がある。それは将来の年齢別人口だ。今から10年後の60歳人口は、ほぼ確定しているといっていい。少子化が問題視される日本だが、これから先に期待できるマーケットもある。高齢者市場である。


といえば、最近、やたらと葬儀場のチラシが折り込まれていたり、認知症薬のテレビCMや新聞広告が増えていることに思い当たられると思う。この先、少なくとも20年ぐらいは間違いなく拡大するマーケットがここにあるのだ。当然、その人たちに向けたビジネスが、どんどん展開されることになるだろう。


スーパーマーケット然りである。


そこでダイエーは、商圏内に高齢者が多い赤羽地区でのリニューアル開業を機に、新しいタイプの店作りに取り組んだ。そのポジショニングは、従来型店舗との比較で見れば下図のようなものだろう。



このポジショニングが、最終的な施策となる4Pを規定する。まずProduct(商品)については、量が多くて安い「お買い得品」ではなく、少し割高でも一人か二人(それもお年寄りだから少食)で食べきれる少量品の品揃えに力を入れる。調味料も小瓶タイプを目立つところに陳列する。


Promotion(販促)については、POPの文字を大きく見やすくする。実際に店舗に行っていないのでわからないが、カラーデザインにも気配りしているなら、コントラストの強い色使いをとっているはずだ。


Place(店舗)も高齢者仕様で、店内の通路を広く取っている。通路を広くとれば、当然、売場面積が狭くなるが、そこは納得の上で効率よりゆとり感を優先したのだろう。さらに買い物カートにも気を配り、軽いアルミ製にしている。


この結果「想定以上にシニア客が多い。店作りのコンセプトは間違っていなかった(前掲紙)」とある。コンセプト、すなわちSTPであり、特に重要なのはポジショニングだ。明確なポジショニングが、品揃えのガイドとなり、販促に反映され、店作りにも反映される。


ただ一点だけ、赤羽店の今後に不安要素があるとすれば、高齢者は自らを「シニア」と呼ばれることを何より嫌うこと。平均すると、実年齢の7掛けから8掛けぐらいの自覚齢を想定して生きているのが、今の高齢者だ。彼らに対して「衣料品や生活用品は大胆にシニア向けに踏み込んだ(前掲紙)」品揃えが、実年齢シニア自覚年齢ミドルの高齢者にどう受け止められるのか。次回、東京に行ったときに、ぜひ見てきたいと思う。


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