狙うべきは、若者か、それとも年寄りか


1回1500円


フィットネスクラブのコナミスポーツが新しいサービス(=Product)を始める。「このほど筋力トレーニング器具を備える全184店舗に、太もも前面の筋肉と脂肪を測定する新サービス『アクティブチェック』の機器を設置した(日経MJ新聞2012年4月18日付9面)」


その利用料が1回1500円だ。


太ももの筋肉チェックが狙うのは、中高年だ。つまり「足腰の衰えで立ち上がりや歩行が困難になる場合、太もも前面の筋肉と相関関係があるとされる(前掲紙)」。この先、年を重ねていったときに、万が一歩けなくなたったりしたら困る。そう考える人たちに向けたサービスである。


また1回1500円の検査料を、納得してくれるお客さんが相手。ということは、コナミスポーツにとっては、これからもしっかりと囲い込んでおきたい上得意客ということになる。そう考えれば、検査を受けてくれるかどうかが、コナミスポーツにとっては顧客のフィルタリング機能を果たすことにもなる。


医学的には、老化予防は早くから始めるに越したことはない。特に体を鍛えていなければ、足腰は30代ぐらいから衰え出す。超音波測定装置(などといかめしい名前がついているだけで信頼度が高まりそうだ)で定期的に計測すれば、その衰え具合がリアルに客観データとして突きつけられることになる。


結果が良くない人は「こりゃいかん、がんばって(コナミで)運動しなきゃ」と思い込むだろう。そして、数ヶ月経って再度計測した時点で、数値が改善されていれば「よしよし。(コナミで)組んでもらったプログラム通りにやったら、ずいぶん良くなった。この調子で(コナミで)続けていこう」と思うかもしれない。


言うまでもなく、狙いはここにある。


以前書いた『フィットネスクラブの似て非なる戦略』では、同じ若者層を狙いながらも、そのアプローチが微妙に違うルネサンスセントラルスポーツの戦略を考えてみた。しかしコナミスポーツは、そもそも狙っている層が異なる。各社のポジショニングは、例えば下記のように捉えることができるだろう。



ポジショニングの違いは、ターゲティングの違いを反映している。ここで順番を間違わないでいただきたいのだが、あくまでも、まつターゲティングが最初で、こういうターゲットを狙うから、このポジショニングという順番で考えなければならない。


だから、ポジショニングの取り方の違いは、フィットネス3社のターゲティングの違いを表しているともいえる。シェアトップのコナミスポーツは、中高年層を中心とした既存の上得意客をしっかり囲い込むことを考えている。確率的には、この上得意客は比較的経済的にも裕福な人が多いといえるだろう。



一方、2番手以降グループのルネサンスセントラルスポーツは、新規顧客の獲得に力を入れざるを得ない。だから、未開拓の若年層を狙う。ルネサンスセントラルスポーツコナミスポーツそれぞれの4P戦術の展開の背景には、各社それぞれの事業環境が反映されている。



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昨日のI/O

In:
『激安エアラインの時代』杉浦一機
Out:
某フォーラムパネルディスカッションラフ原稿

昨日の稽古:

拳立て・腹筋・スクワット