一本気、一直線な人



石けんを手作りしたんです


shareKARASUMAの管理人さんから「マーケティングを手伝ってあげてほしい」と紹介された女性は、妙なことを言った。


石けんを自分で作る?
ナニソレ?
一体どういうこと?
石けんって、でっかいプラントで作るものじゃないの?


世の中には、変わったことをおっしゃる方もいるのだなあと、少しばかり世界観が変わったことを思い出す。とはいえ、マーケティングの手伝いを依頼されたのだから、冗談でやっているわけではないようだ。


そう思って話を聞くと、これが実にど真剣な内容である。


何年か前まで彼女は、健康食品のOEMを扱う企業で営業職をされていたのだという。毎日を極度の緊張状態で過ごし、身も心もカサカサだった彼女の唯一の楽しみは、休日のお風呂タイム。平日は仕事が忙しくて、湯船にお湯をはるゆとりもなかったそうだ。


そんなある日、一冊の本との運命的な出会いがあった。


その本には、食材を使った石けんの作り方が書かれていた。口に入れるものは、自然で安心できるもの。そう心がけていた彼女には、食材で石けんを作ること自体が驚きだった。洗顔剤をはじめ女性のたしなみとして必要な化粧品類には、化学成分が入っていて当然と諦めてもいたのだ。


ところが、口に入れても安心な食材で石けんを作ることができる。そんな石けんがあれば、あわただしい日々の生活の中で貴重なリラックス・バスタイムを、もっと豊かに過ごせるかもしれない。


早速、材料を揃えて石けんを作ってみた。オリーブオイルやパームオイル、水としょうがの絞り汁などで作ったハンドメイド・オリジナルの石けん。


この石けんが人生を変えた。


肌触りのなんともやさしいこと。洗い終わった後、肌にヴェールがかかったような潤いが続くこと。洗顔後、保湿クリームがいらなくなったこと。そして今まで使ってきた洗顔石けんが、実は必要以上に皮脂を取り除き、さらには肌を傷つけていたことに気づいた。


洗顔で肌を痛めるから、洗顔後のケア商品が必要になる。大手化粧品メーカーの巧妙なビジネスモデルに対する怒りを覚えた。ここから次のステップへの飛び方がすごい。まさに一本気、思い込んだら一直線である。


会社を辞めて、会社を作り、自ら石けんメーカーになったのだ。


体に合う食材、自分が好きなもの、出身地である讃岐のソウルフードうどんには欠かせない薬味、しょうがを材料に使う。調べれば、しょうがには抗酸化力、消炎・抗菌力があることがわかった。さらに美肌効果もあるという研究報告を、大手化粧品メーカーが出していることもわかった。


しょうが石けんは間違っていない。あとは、自分のレシピに従って石けんを作ってくれる工場を探すだけ。幸い創業56年、親子二代で半世紀以上に渡り、慈しむように石けんを作り続けてきた工場が見つかった。


そんな物語をもって生まれたのが、『しょうが百花(マルセイユ石けん)』である。優れた物語は人を引きつける。石けんメーカー、ウェルコ株式会社(白山智香社長)には、すぐに応援隊がついた。


大手流通で店長を勤めていて、あちらこちらに販売ネットワークを持つプロ、学生時代にバイトでやっていた派遣販売員であまりの売上に、派遣先から引き抜きを受けたほどの販売のプロ。いろんなプロがまわりにいる。これはシェアオフィスのメリットでもある。


さて、その石けんである。ご本人がこの上ない愛着を込めて作った製品は、作り手の人柄にどうしても似てしまうようだ。


『しょうが百花(マルセイユ石けん)』は、最初は角があって時に痛いこともある。けれども、使っているうちに角は取れて丸くなり、どんどんまろやかになってくる。ちょっと時間はかかるけれど、そんなお人柄である。



昨日のI/O

In:

Out:
某進学塾本原稿
某専門学校情報誌原稿

昨日の稽古:

ジョギング、筋トレ