いつも知恵を絞りきる人



shareKARASUMA偉人伝、第5回目はオフィース絵夢の宮艸至一(みやくさ・しんいち)さんをご紹介します。


性能(速さ)を15倍、かつコストは10分の1にせよ


宮艸さんは、大学で情報工学や統計処理を学んだ後、立石ソフトウェア(現在のオムロンソフトウェア)に入った。今からざっと35年ほど前のことである。まだ、インターネットはない。けれども、これからはコンピュータ、それもソフトウェアの時代が来る。そんな予感がしていたという。


適性もあった。学生時代には、騒音の統計データ処理に携わり、自分でプログラムを組んだ。アルゴリズムに基づき、ロジックを詰めてものごとを考えていくのが、高校時代から楽しかったのだ。


才能はオムロンで開花する。入社1年目の半ばにして、2年上の先輩以上の仕事をこなすようになった。なぜ、そんなことができるのか。どんな仕事をふられても、決してすぐに手を付けたりしないからだ。


まず、考えるのである。アウトプットとして、何を要求されているのか。使えるリソースは何か。どんなプロセスで処理していくのが最も効率的なのか。


ものごとを処理する方法はいくらでもある。だから人は、まず頭に思い浮かんでやり方で、とりあえず始める。最初の一歩がたまたまうまく行った。これで行けそうだと誤解する


ところが、先に進むにつれてスピードが鈍る。思わぬ難題が頭を出す。とはいえ今さらやり方を変えるとなると、これまでが無駄になる。サンクコストの落とし穴である。


できる人は違う。手当たり次第にやることの無駄をわかっている。もしかすると、筋道が見えていないまま動くことに対して、生理的嫌悪感を覚えるのではないか。


もちろん最初からゴールが完璧に見えているわけではない。そう思うと、トラブルの兆候を見過ごすおそれがある。ゴールは見据えながら、現在位置との関係を測りながら、次のステップの仮設を立てて進む。本来のPDCAサイクルを回せる人である。


だから、仕事を覚えるのが早い。


その結果、宮艸さんは入社2年目にして、オムロン中央研究所に抜擢された。入社2年目のルーキーが呼ばれることなど前代未聞ではなかったのか(ご本人は謙遜されてましたが、きっとそうだと思います)


ここで10年、文字認識、画像処理、AI(人工知能)など、当時の最先端の研究に取り組んだ。そんな時、上司から降ってきたのが冒頭の命令である。


よく松下(現パナソニック)では、3%の改善ではなく3割の改善を目指せという。3%の改善は、現状の見直しでなんとかなることが多い。けれども3割となると、ゼロベースでの見直しが必要だ。


ところが「コストは10分の1、性能は15倍」である。コストを同じと仮定すれば、性能を150倍に上げろというオーダーである。


目標設定は、さじ加減ひとつで人を成長させる。無茶な目標は時として奇跡的な成長を促す。けれども無理な目標は、人を壊しかねない。滅茶苦茶な目標は、意欲そのものを萎えさせる。


けれども、同じ目標を与えたとしても、それをどう受け止めるかは、与えられた人物の器による。宮艸さんは上司のオーダーに対して、どう反応したのか。


プログラムだけでは不可能だと見積もった。普通のソフトウェア開発者なら、そこで諦めるところだ。けれども、ゴールに到達する道は、ソフトだけではない。ハードウェアの一部でも解析処理をすればどうなるか。可能性が見えた。実現したシステムは、オムロン本体の社長賞を獲った。


その宮艸さんが、いま力を入れているのがウェブマーケティングである。たとえ商圏が半径500メートルのパン屋さんだとしても、ウェブマーケティングの活用次第で、売上は変わってくる。インターネットは世界だけを相手にしている情報ネットワークではない。


むしろFacebooktwitterなどのSNSも活用するなら、顔の見える範囲で商いを営む、すべてのビジネスをパワーアップする。ただし、だれでも簡単に手を付けられるからといって、プロセスを設計せずに手を出すと、ほぼ間違いなく失敗する。


「そんな企業さんやショップ、スモールビジネスをされている方のお手伝いこそが、これからの人生で僕に与えられた役目。そう思って独立したのです」


オフィース絵夢代表、宮艸至一氏のやり方は、中小企業のマーケティング支援でも同じ。徹底したゴール思考と、プロセス重視である。売れる、客を呼ぶサイト作り、任せて安心のコンサルタントである。


8月27日、京都駅前で宮艸さんのセミナーが開催されます。興味を持たれた方は、ぜひ!




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