そのコピーは変やろ4


その男、VIP氏。
だから借りてね、オリックス・クレジット。とはならない。


このシリーズ、あまりにも日本人の経済観念を低く見ているのが気にな
る。逆に、読み手がこの広告を見て「そうか、オレもVIPと呼ばれる
ためには、100万ほど借りて、スペインにサッカーでも見に行かなく
ちゃなあ」なんて思わないことを真底祈る。この程度の感覚の持ち主が
が日本人男性の大半だとしたら、決定的な教育の欠落ともいえるんじゃ
ないか。


ボディコピーは次のように続く。


「憧れのあのサッカープレーヤーを、マドリッドのスタジアムで、
 スペインのサポーターたちに囲まれて見る。
 ずっと夢でしたね。お金はかかりますけど」。
 

それは構わない。何にお金を使うかはひとそれぞれ。他人がとやかく言
う筋合いのものではない。が、必要資金として120万円を13.2%
もの高利で借りることが問題なのだ。


もっといえば、そんな経済感覚の持ち主がVIPでまかり通っちゃいか
んだろう。もちろんクレジット会社サイドからすれば、これは暴利では
なく適正(?は残るけど)利潤となるのだろう。資金調達コスト(この
金利時代に実際はどれぐらいかかっているんだろう)とか、貸し倒れ
リスク(少なくともVIP氏に貸すのだから、リスクはうんと低いんじゃ
ないのかね)を勘案すれば、妥当と判断してのことだと思う。


しかし、この金利がいかに高いかを判断するために、こう考えてみては
どうか。


いま手元に120万の資金がある。自由に使って構わない。もちろん預
金してもいいし、株で運用してもいい。何か商品を仕入れて売るのもあ
り。何でもいいから、増やしてみろと。


13.2%の純利を出すことがどれだけ大変か。企業に勤めておられる
方なら、自社の経常利益率と比べてみてください。結果は明白だと思い
ますが…。


だからといってお金を借りてスペインにリフレッシュに行っちゃいけな
いなんて、いってないのでその点は誤解のないように。リフレッシュす
ることで生産性が倍増し、13.2%ぐらいの利益は軽く稼いでしまう
ぜって方は、どうぞいっちゃってください。それこそほんとのVIP氏
かもしんない。


にしても、正真正銘のVIP氏なら、もっと低利の資金調達法を考える
と思うけどね。資金調達にはコストがかかる。もっともわかりやすいの
が借金の場合の金利だ。このコストをできるだけ抑えることを意識して
ない人が、あまりにも多いんじゃないだろうか。


その典型が住宅ローンだったりするわけだが。このあたり、学校では一
切教えていないわけで、何でだろうと勘ぐったりもしてしまう。本当な
ら人が生きていく上で、ものすごく大事なことなんだけどね。