最適な値引きとタイミング


理想は売れ残りゼロ。


当たり前のことだが、現実的には不可能だ。特にファッションアイテム
など季節商品の場合は、シーズン中に売れ残る商品が必ず出る。だから
利益を確保するためには、価格を下げてでも売れ残りを少なくすること
が必要になる。


今ごろのタイミングなら、夏物大バーゲンなんて売り方だ。デパートな
どのバーゲンセールではたいてい一律20%オフとか、3割引などの表
示になる。が、こうした値付けは本来ならロスが多い。なぜなら同じ夏
物でも、お客様に対する価値はアイテムごとに違うはずだから。


こうした状況にニーズありと踏んだシステム企業が、アイテムごとに
(いわゆる単品管理ですね)値引き幅とそのタイミングを最適化するシ
ステムを開発した。アメリカのプロフィットロジック社である。
http://www.profitlogic.com/


価格最適化システムのベースとなるデータは、過去の販売データ、各企
業ごとの販売ルール、そして価格弾性値に代表されるノウハウである。
ここに対象商品の直近の商品価格、在庫情報をインプットすると、最大
の利益額を獲得する値付けが提示される(日経流通新聞7/18より)。


価格は、決して一定ではない


なぜなら、その商品に対して顧客が感じる価値は、一定ではないからだ。
価格、つまり対価は、その商品に対して顧客が認める価値との関係で決
まる。極端な例えをするなら、仮に原価が1万円かかっていようと、そ
の商品に対する価値を誰も認めなければ、価格が1円でも誰も買いはし
ない。逆に原価が1円だったとしても、それに価値を認める人がいるな
らば、1万円で売れる可能性もある。


価格が価値とのバランスで決まる限り、本来は値付けとは変動するもの
だ。その変動の幅をロジック読んでいこうというのが、この価格最適化
システムのコンセプトだろう。


扱っている商品が一桁台なら、たぶん店長の勘ピュータで処理できるし、
現場をよく知る店長なら勘ピュータの方が正しい値付けをできるだろう。
しかしスーパーなど取り扱いアイテム数が増えてくると話は別だ。


アイテムごとに最適な値付けをリアルタイムで行っていけば、収益性は
劇的に改善される可能性はある。ただし、このシステムのキモは、アイ
テムごとの価格弾性値の算出だろう。これはシステムサイドではなく、
各店のノウハウの塊である。このノウハウの優劣が最終的な値付けに大
きな影響を与える。


日本では『しまむら』が似たようなシステムを自社で開発・導入してい
る。同社が高い利益率を上げる要因は、このシステムにある。


プロフィットロジック社のシステムには将来性があると踏んだらしく、
最近、同社はオラクルに買収された。いずれ日本でも、こうしてシステ
ムの導入が始まるだろう。


ともあれ値付けは利益に直結する。そして値付けは商品の価値と対価の
バランスで決まる。この単純な事実に経営者はもっと関心を払うべきだ
と思う。




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