郵政デファクトはどこが握るか


売上高20兆円、経常利益1.9兆円。


まぎれもなく日本最大の企業グループがちょうど2年後、登場する。日
本郵政である。これを受けてシステム業界では2007年問題なんて吹っ飛
んでしまった。半年前には倒産かと嘆いていたところが、人集めに躍起と
なっているという。まさに神風が吹いたかのような沸き方らしい。


なぜなら、巨大なシステム需要が起こっているからだ。何しろ2万4千も
の拠点を抱えている。ということは、どんなものでも郵政仕様として採
用されれば、自動的に×2万4千倍の売上が保証されるというわけだ。こ
れすなわち、郵政デファクトスタンダードである。


すでにその争奪戦は始まっていて、とりあえずATMの生体認証方式では
郵政の主張が通った。先行した東京三菱銀行に対して巻き返しを図りた
いみずほ・三井住友が共同して郵政公社に「指認証」を提案。その採用
が決まったという(日経新聞10月17日)。


これで東京三菱の手のひら静脈システムの命運は、少なくとも国内では
決まったようなものだ。その陰では泣くメーカー、笑うメーカーがでる
のかもしれない。


デファクトを握ることの優位性は、マイクロソフトが証明している。デ
ファクトは利益率に直結するのだ。逆にデファクトを取れなければ、市
場から淘汰されていく危険性はかなり高い。


民営化が決まった郵政は今後、さまざまな商品、サービスを開発してい
くだろう。一つ何かが決まれば、それが2万4千のインフラを通じて、一
挙に浸透していく。と考えれば郵政のインフラを、一つの強力なメディ
アと考えて、そこで何を流通させるかといった視点もあるはずだ。


この2年間で、システム、メディア、通信、物流などの分野での業界勢
力図が大きく変わっていくのかもしれない。そして、こうした巨大な変
化が起こるときには、必ずいろんなチャンスが生まれるはずだ。そこを
掴めるところが、次の勝ち組になっていくのだろう。




昨日の稽古: