坊さんは儲かるか
日本全国に7万5000。
実は日本にはコンビニ4万店のほぼ2倍弱もお寺がある。都市部に住ん
でいる人には、なかなか実感としては伝わりにくい数字だろう(『
Think』誌2005・秋号)。ちなみに郵便局は、全国に2万4000
ぐらいだから、郵便局の3倍ものお寺があることになる。
→ http://d.hatena.ne.jp/atutake/20051017
もちろんたぶん全体の3分の2ぐらいは無人寺じゃないだろうか。とは
いえ職業僧侶もそれなりにいるはずだ。では、坊さんはどうやって暮ら
しているのか。
坊さん業をビジネスとして考えたときに、お客さんは檀家となる。檀家
に提供する価値は、まずお葬式のときのお布施・戒名が大きくて、あと
は命日のときの法要となる。
では、これらに対する対価はといえば、葬式のときのお布施は、実は一
定ではないらしい。一つには檀家の年収の1ヶ月分が目安だという説が
ある。となると夫婦共働き世代の平均年収が620万なので、だいたい
お布施は50万前後と考られる。
→ http://www.stat.go.jp/data/zensho/1999/3.htm
しかし、お葬式にも競争原理が働いているらしく、あるサイトでは寺や
お坊さんの格によって変わるものの25万程度とも紹介されていた。
→ http://www.minso.com/sougi/indexj.htm
プラス戒名、これが実はかなり高い。文字数、宗派によって違ってくる
みたいだが、一番安いのが浄土宗で三文字。○誉○○信士とか○誉○○
信女みたいな感じで、これで5万ぐらいらしい。
たった一文字違いだが、四文字で臨済宗なら30万までタイプと50万
までタイプがある。その違いはたとえば男性の場合、○○○○信士とす
るか○○○○居士とするかによる。「信」よりも「居」の方が一文字で
20万ぐらい高いのだ。何が違うんでしょうね、一体。
これに対して法要は、おそらく2〜3万だから小遣い稼ぎの感覚か。
ということは、一度お葬式があれば、まあ50万から100万の実入り。
経費はほとんどかからないだろうから、これでだいたい一ヶ月は暮らし
ていけるぐらいの感覚なんだろう。つまり年間最低12件のお葬式があ
れば、何とか食べていけるんじゃないだろうか。
かなり大まかな試算だが、これがだいたい当たっているとすれば、この
先20年ぐらいは坊さん業は、比較的安定したビジネスになる可能性は
ある。何しろ団塊世代が控えているのだからマーケットはでかいのだ。
余談だけれど、この先20〜30年ぐらいのマーケットサイズを読んで
葬儀業への新規参入を考えているところもある。というか、ある地域で
の葬儀産業の新規参入の可能性調査をしたことがある。結構、考えてい
る企業もあるみたいだ。
ただし、母数は増えていくが、葬儀のやり方は大きく変わっていくだろ
う。お坊さんを必要としない葬儀も増えるのではないか。とはいえ位牌
ぐらいは残るだろうから、戒名ニーズはなくならないのかもしれない。
ではお寺のビジネスモデルは長期的には先細りなのだろうか。
お寺という装置、お坊さんが一通りはマスターしているはずの各宗派の
教えという資産を考えれば、それを価値として提供していく手段はいく
つかあるように思う。だって、一ヶ月にお葬式が一回あればやっていけ
るわけでしょう。ということは、ものすごく時間的な余裕はあるはずで、
それを活かせばいろんなことができるはず。などと考えました。