クーリエ・ジャポンの価値は何か


海外1000のメディアから。


世界各国のメディアからセレクトしたニュースで構成された新しいタイ
プの雑誌。これが『クーリエ・ジャポン』の売りである。


なるほど、世界にはかくもたくさんの雑誌があるのかと、まず驚く。し
かし考えてみれば、これは当たり前のことだ。そして、それぞれの雑誌
は、それぞれの考え方で編集されている。そこには各国のいろんな事情
が反映されてもいるだろう。


たとえば創刊号では「世界が見たKOIZUMI」が特集テーマとして取り上
げられている。小泉首相に対する見方は、こんなにいろいろあるのかと
素直に驚かされる。この驚きが大切なのだと思う。


日本では小泉賛美か、さもなければアンチ小泉かと、意見が極端に分か
れがちだ。しかもその基準は、日本国内の論理でしか見られていない。


しかし海外の目は違う。小泉勝利をアジア史の転機と捉える見方がある。
あるいは今回の選挙で日本の政治が決定的な転機を遂げたとの見方もあ
る。また物議を醸している靖国参拝に対して、中国のみならずアメリカ、
フランス、シンガポールから台湾(いうまでもなく原則的には反・中国
主義の国である)までが理解できないとコメントしていることも。


もちろん、それぞれの見方には、それぞれの論理的背景がきちんとある。
なかにはすっとわかる考え方もあるし、それは納得できませんなという
しかない考え方もあるだろう。そのすべてをたとえ理解できなくとも、
そうした背景が世界には存在するのだと意識することが、とても重要だ
と思う。


もちろん1000誌の中には、小泉首相靖国参拝を賛美しているメデ
ィアもあるのかもしれない。どのメディアを取り上げるかは、編集部の
方針次第なのだから、そこに文句をつけても仕方がない。


ただ、一つの事象に対して、世界には多様な見方が存在することを再認
識させてくれる意味で、この『クーリエ・ジャポン』の価値はあると思
う。


何ごとに対しても自分なりの考え方を持つことは極めて大切であり、さ
らに大切なのは、その自分の見方が世の中全体の中で、どんなポジショ
ンに位置しているのかを大まかでも掴んでおくこと。『クーリエ・ジャ
ポン』は、そんな当たり前のことを再認識させてくれた。


個人的には村上春樹についての特集がおもしろかったのと、あのマラド
ーナが驚異的にやせていて、イタリアのダンス番組で踊っていたことが
印象に残りました。






昨日のI/O

In:
『インタビュー術』永江朗
クーリエ・ジャポン
Out:


昨日の稽古:


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