ガレージ愛好者が求める価値は


年商1億6千万


『ガレージライフ』なる雑誌の売上である。一冊2000円もするのに毎号確実に2万部も売れるという(日経新聞1月10日)。その中身はといえばなんとこれが一冊丸ごと「ガレージング」について。


「ガレージング」って何のことだかわかりますか。この言葉は実に「Garageする」という意味の造語だそうな。何じゃそれっ、てなものなんだけれど、要するに快適なガレージを作って、愛車(バイクも含む)と楽しい時間を過ごそうというぐらいの意味らしい。


わかりやすくいえば、部屋のようなガレージを作って、そこに整備用の工具だとか座り心地の良いイスだとかをおいて、愛車をいじったり、眺めたりしてくつろぎの時間を過ごそうということなんだろう。


世の中にはクルマを好きな人はたくさんいるはずだから、そうした空間があってもおかしくないし、ガレージングなる時間の過ごし方もあっていいと思う。それより何よりここで注目したいのは『ガレージライフ』という超・ニッチなターゲットを狙った雑誌が、おそらく採算ラインに乗っていることだ。


マニアが求める情報は、一般的にはなかなか流通していない。だからこそマニア向けの情報には価値がある。情報誌としての完成度が高いのであれば、その対価として2000円ぐらいなら余裕で払っちゃう。と、こういった構図があるのだろう。


これがオタクマーケットのすごさである。そしてこうした現象は恐らくは「ロングテール」につながる流れの中で理解すべき出来事だろう。


オタクたちが愛好するテーマは、もちろんガレージにとどまらない。アニメ、マンガ、ゲーム、プラモデル、鉄道、パソコン、アキバ系(萌えですね)からエッチ系まで。およそ世の中のありとあらゆるモノが、オタクのテーマになり得る。


オタバ』なるサイトがある。オタクが集まるSNSである。
http://otaba.jp/
ここをのぞいてみると、オタクアイテムがいかにバラエティに富んでいるかがよくわかる。


こうしたオタクマーケットは、インターネットによって一挙に広がったと考えていいだろう。コミケなどはネットが普及する前からあったとは思うが、ネットによってオタク間の情報ネットワークは一気に拡大し、マーケットとして採算ベースに乗るようになった。情報の受発信コストが従来の何百分の一レベルまで下がったからだ。


野村総研の試算によれば、オタク人口は172万人。軽度なオタクまで含めれば、その数は650万人にまでふくらむという。こうなってくると日本人の20人に一人は何らかのオタクってことになる。すごいですね。そして市場規模も1兆4千億円もある。オタクパワー恐るべしである。


もちろんオタクマーケットはかなりなニッチマーケットだから、一ジャンルごとの規模はそれほど大きくないだろう。しかし、これこそまさにロングテールのシンボルの様な存在だ。そして、そこには確実にマーケットが存在する。


ここで一つ注意しておきたいのは、オタクということばに秘められたニュアンスである。まさか昔のようなネガティブイメージを持っている人はいないと思うけれど、仮に「オタク」を「マニア」と読み替えればどうなるか。ネット系のビジネスなんて、そのほとんどはマニアが創りだしたものになる。


だっでそうでしょう。現代社会でもっとも重要なインフラとなっている「Windows」を創りだしたのは、一体どんな人物だったのでしょうか? はい、それは重度のプログラムマニア(日本語で表すならプログラムオタクともいう)だった少年ビル・ゲイツですね。


と考えれば、21世紀はオタク/マニアこそがパイオニアとなり、クリエイティビティを存分に発揮する社会といえるだろう。




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