サイトデザインは売上をどう変えるか


年商200億、月間5000万PV、月間ユーザー400万人


パソコン、家電などの通販サイト「PCサクセス」の実績である(日経MJ2月22日)。決して悪くないと思う。
http://www.pc-success.co.jp/index.html


同サイトは99年のサービス開始以来、順調に業績を伸ばしてきた。しかし、このところ新規ユーザーが伸び悩んでいる。そこでウェブ系のコンサルに調査を依頼したところ「商品が見づらい」「信用できるサイトなのかどうかを気にしている」などの課題が浮かび上がったという。


そこで思いきってデザインを一新することにした。デザイナーとして起用されたのが佐藤可士和氏。いま日本で最高にイケてるグラフィックデザイナーの一人だ。が、佐藤氏がウェブデザインを手がけるのは、今回が初めてらしい。


「初めて」に取り組むときに、クリエイターの資質が現れる。初めてだから、過去の参考資料を調べまくり、データの蓄積の中から自分の視点を見つけるタイプ。初めてだから、自分なりのデザイン哲学にもとづいてゼロベースで物事を考えるタイプ。


どちらが良い悪いの話ではない。あえていうなら、失敗が少ないのは前者であり、一発当たれば大ヒットのクリエイティブとなる可能性が高いのは後者ということだろう。佐藤氏は明らかに後者である。そして少なくともグラフィックやパッケージなどのデザインでは、画期的な成果を上げてきている。


では、佐藤氏はPCサクセスの現状のサイトをどう見たか。
情報を整理せずに詰め込んでいるだけと見た。


まあ、そういわれりゃそうかと思うし、通販サイトとして一般的じゃないかといえば、それが間違っているとも思わない。個人的には、ごくごく普通のサイトだと思う。


ユーザビリティの視点から見れば、普通がいいという意見が今のところ一般的だ。つまり普通だということは、こうしたデザインに慣れている人が多いということであり、慣れているということは、それなりに使い勝手は悪くないということになる。


さらに佐藤氏の指摘を続けると、色使いがごちゃごちゃしているとなる。


素人目にはブルー系をベースにすっきりまとまっているように思えるけれど、トップのナビゲーションボタンの下、特売品のスペースはいろんな商品が掲載されるために、確かにごちゃっと感はある。が、これも、わざとごちゃごちゃさせてにぎわいを出す手法だと反論できないこともない。たとえるならドンキホーテ手法とでもいえばいいか。ネット通販最大手の楽天も同じようなイメージだ。


こうした見方のもとで、PCサクセスの新しいサイトを佐藤氏はどう組み立てるのか。ポイントは次の3つとなるようだ。
1.余白、ホワイトスペースを活かす
2.色使いは極力シンプルに。
3.操作ボタンなどはあえて平面的なデザインとする。


こうしたデザインポリシーは、現状のウェブデザインのメインストリームとかなりの部分で対立する。


これまでは、通販など実用的なサイトのトップページには、可能な限り多くの情報を掲載するのが原則だった。これは目的のページにたどり着くまでのクリック数を少なくするためだ。3クリック以内・8秒以内なんてルールが昔はよくいわれた。


あるいはナビゲーションボタンについては、それをクリックすればいいと直感的に分かってもらうために立体的なデザインが採用されてきた。サイトデザインではナビゲーションも重要なポイントになる。ナビゲーションの善し悪しとは、つまり目的とする情報にどれだけ的確かつ早くたどり着けるかである。だからクリックボタンなら、ボタンらしく立体的に見せるのが良いとされてきたわけだ。


佐藤氏がやろうとしているデザインは、こうした従来の手法をゼロベースで見直したものとなる。開発途中のデザインが日経MJ紙に掲載されている。これを見る限りは、確かにすっきりとしている。


従来のサイトデザインは、これまでのネット環境を前提としたものである。通信環境が、ほぼブロードバンド化された今と以前では、前提条件が異なっているため、サイトナビゲーションに関しても新しい考え方があってもいいと思う。


最終的に新しいデザインがリリースされるのは6月ごろ。この新生サクセスPCの業績が、サイトデザインの変更でどう変わるのか。とても楽しみだ。





昨日のI/O

In:
『松本裁判/松本人志
Out:
うどん学校セミナー企画




昨日の稽古:

 ・カーツトレーニング1セット