パソコンか、はたまたテレビか


懲りずに『VAIO』。


でも、今回はグッドな事例。これまでをふりかえってみるに、やはりSONYは徹底して差別化路線突っ走っている。だって、パソコンをこれほどまでに多面的にアピールしているメーカーは、他にないでしょう。そこで。


今回のキャッチは次の通り。
「PCにもなる薄型テレビ。」
http://www.vaio.sony.co.jp/Products/Concept/VAIOgraphy/Html/Designing/index.html


いつものように「だから買ってね」検査をしてみましょう。
http://gold.ap.teacup.com/frankjuso/15.html


「PCにもなる薄型テレビ。だから買ってね、VAIO


なかなかによろしいんじゃないでしょうか。VAIOというPCの広告でありながら「薄型テレビにもなるPC」と持ってこなかったところがミソ。昔からあるコピーテクニックではあるけれども、読む人はここで「ウン?」と引っ掛かるレトリックになっている。


もちろんVAIOはノートパソコンである。パソコンなんだけれども、あえて「これはテレビと考えてくださいよ、ね。で、テレビなのにパソコンとしても使えるんですよ。お得でしょ」といったニュアンスが仕込まれているというわけ。そしてノートパソコンを薄型テレビに見立てることで、競合とはまったく違ったポジショニングを取ることができた。


このポジショニングを取ることで、これまで散々苦労してきた差別化がみんな生きてくる可能性がある。


つまり、
パソコンではあるけれども、素材が価値になる(かもしれない)。
http://d.hatena.ne.jp/atutake/20060220/1140380334
あるいは
大量生産できないことが、価値になる(かもしれない)。
http://d.hatena.ne.jp/atutake/20051223/1135291467
はたまた
フォーミュラマシンを追いぬいたり、一台のオーディオとしてつくったことも価値になる(かもしれない)。
http://d.hatena.ne.jp/atutake/20051026/1130274974


最初からこのポジショニングを狙っていたのか、それとも広告を展開しているうちに、このポジショニングに至ったのか。そのプロセスはわからない。もしかしたらクリエイティブのチームが変わったのかもしれない。そう考えれば、微妙ではあるけれどもビジュアルのテイストも、これまでとは変わっているような気もする。


今回はビジュアルもなかなか秀逸である。アイデアのあるデザインといえばいいだろうか。


キーボードの部分に白いパネルを持ってきて、そのパネルにキャッチコピーがビシッと一行。字間まできちんと計算されたゴシック体で組まれている。つまりぱっと見た瞬間は、自然と視線がモニター画面に向かうように計算されたデザインだ。だから、この雑誌広告(日経ビジネス3月27日号)を見た瞬間は、一瞬「えっ、VAIOブランドのテレビが出たんかいな」と思ったりもした。


そしてボディには決めのひと言、「テレビノート」なるキーワードが埋め込んである。せっかく、こんなに強い力を持つキーワードがあるのなら、ボディの入りに持ってきた方がよかったんじゃないかと思うけれど。


全体的に、とてもよくできた広告だと思いました。いろいろ勉強にもなりました。





昨日のI/O

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『フルコンタクトKarate』誌
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昨日の稽古:

 ・カーツジョギング
 ・腹筋(足上げを松井にならってやってみたけれど60回が限度でした)