フォームを守れる打ち手は強い


元禄なんか初心者のやるこっちゃ。
勝ちたいんやったらブッコ抜きやで。


何の話かお判りになる方、おられますか。自動卓が普及する前に麻雀をやっていた人、それもかなり熱心にやってた人ならわかるかも。早い話がイカサマのやり方である。


元禄というのは、自分に有利な牌が来るように山を積むこと。たとえば中張牌(チュンチャンパイってこんな漢字で良かったっけ?)を集めておくとか、あるいはもう少し大胆に一色系の牌を積んでおくとか。


ぶっこ抜きというのはですね、自分の山の右端に4枚から6枚ぐらい重要な牌を集めておいて、手牌の不要牌とそれを一気に交換するといった荒技のこと。こちらは荒技だから素人は「そんなこと、とてもやれんでしょう」と思ってしまう。だから「トーシロさん相手の時には、よく決まる。決まれば一発。たとえば三元牌を固めといたらええねん。わかるやろ、そやから大三元がいちばんかんたんにできる役満なんや」。


こう語っていたのは、京都の印刷屋に勤めていた時なかよくしてもらっていた製版会社の人。私より10歳ほど年上だっただろうか。歳は離れているのだが妙に馬が合い、お互い麻雀が好きだったこともあって仕事のことからはじまりいろいろと教えてもらった。その中の一つがイカサマ技についての話だったというわけ。


なんせ彼は大学の学費を麻雀で稼ぎだした人である。学費だけじゃなくて、祇園で飲み歩く金まで麻雀でたたき出していたという。といっても「そんなあこぎな勝ち方は絶対にせ〜へんねん。一回に勝つのはせいぜい3万までや。それと一つの雀荘に続けていくようなことはしたらあかん。せいぜい週1ぐらいのペースやな」なんてのたまっていた。


あるいは「大阪はきっついでぇ。あんなとこ行ったらあかんわ。いっぺん藤井寺の方まで遠征に行ったことあんねんけどな、あんまり露骨につるみ打ちしよるさかい、雀卓ひっくり返して逃げて来ったわ」とも。そんな危ないところまで、わざわざ一人で打ちにいかんかったらええのに、と思ったことが強烈に印象に残っている。


さて、本題。


そのセミプロに教えてもらった麻雀に勝つコツ。それは自分のフォームを持ち、勝負の間は必ずそのフォームをキープすること。これに尽きる。しょぼいフォーム(たとえば何でも食いタン・早上がり専門・ドラが一個でもあればラッキー)みたいなのでも構わないから、それをキープすることだ。徹マンぐらいの長丁場になれば、フォームを維持できるかどうかで勝敗は必ず決まる。


もっと正確にいうと必ず負けない麻雀を打てるようになる。そして、勝負事で何より大切なのは『負けない』ことだ。半荘2回ぐらいなら勝負は時の運でばかヅキしている奴には勝てない。それでもフォームを守ることができれば、負けを最小限に抑えることはできる。結果「ちょいプラス、場代とチャラね」ぐらいでしのげるわけだ。


そして長く打てば打つほど、フォームが効いてくる。徹マンになると、たいてい勝つ奴は決まってくる。一晩中打ち続けるとなれば、運はだいたい平均的に分散されるのだ。となると結局は地力の差が出る。それがフォームだ。


では、フォームの効用とは何か?


それは判断基準を明確にすることによって、不要な選択肢をあらかじめ排除することだろう。要するに余計なことを考えない。そのときに持っている自分の力(=フォーム)を守り、無謀な勝負に出ない。やったこともないような打ち方をしない。相手に合わせるのではなく、自分に相手を合わさせる。そんなところだろうか。


もちろん経験を積めばフォームは変化、というか進化していくだろう。経験というのは場を読む力、相手の実力を読む力につながっていくのだから。その上で一定のフォームで打ち続けられる人は、ほとんど負けない。


美しいフォームを持つことができるかどうか。そのフォームを維持することができるかどうか。フォームを美しく磨くためには、やはり日々の修練しかない。そしてフォームを維持するためにも、やはり修練しかない。


ちょっとこじつけっぽいけれど、空手も仕事(特に書きもの仕事)も一緒じゃないか、などと思った次第。でも、なんでいきなり麻雀のことなんか思い出したんだろう。人間の記憶というか頭のなかって、とっても不思議だ



昨日のI/O

In:
冬のソナタ
→今頃、すっかりハマってしまって。これ、実は実によくできたドラマじゃないか。

Out:
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昨日のBGM

Tin Drum/Japan
Darn that Dream/Joe Farrell with Art Pepper
Auf Wiedersehen/Red Garland
It's only rock'n roll/The Rolling Stones

昨日の稽古:富雄中学校体育館

・コーディネーショントレーニン
・基本稽古
・ミット稽古(今日はフォームをきれいに/きれいなフォームで強く)
・組手稽古(2分×10セット)


Tin Drum

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