シルバーコンビニは成功するか

30代：29.8％
40代：24.2％
20代：22.5％
50代以上が17.1％

これはコンビニの来店客数の割合（2005年度調査・日経MJ新聞7月26日）。意外にも来店客のトップは20代ではなく30代だった。また前年対比伸び率の高いのが50代以上で3.6ポイントアップしている。

とはいえコンビニ全体でみれば既存店売上高は22ヶ月連続でマイナス（2006年日本フランチャイズチェーン協会発表・『プレジデント』誌8月14日号）。コンビニのビジネスモデルには閉塞感が漂いつつある。そこで業界の中では先頭を切ってローソンが高齢者をターゲットとした展開に乗り出した。

名づけて「シニアにやさしいローソン」。その第一号店がこの7月、淡路島でオープンしている。シニア対応として何をやっているかといえば、店舗レイアウトと品揃えの大幅な変更だ。

たとえば店内には飲食スペースやマッサージチェアを用意し高齢者がくつろげる滞在型の店作りに。通路幅も広くし高齢者がゆったり歩けるよう配慮している。商品については和菓子や白髪染めなど高齢者向けのものを増やし、地元の生鮮野菜も扱っている。（日経MJ新聞7月26日）。

なるほど。これからはコンビニのメインターゲットである20〜30代人口は減っていく一方である。かたや団塊世代の大量引退を目前に控えて、おそらくは暇な高齢者が、その時間を持て余す。であるならコンビニに来てもらおうではないか。そんな戦略であり、一種のターゲットシフトと考えられる。

これは一見ロジカルな選択のように思えるが、果たしてうまくいくのだろうか。一つ、根本的な部分で問題があるように思う。それはつまり高齢者に対する配慮そのものが、これまでのコンビニを支えて来たビジネスモデルと対立することだ。

コンビニといえば全国一律の店舗形態（出店コストを抑えることができる）と品揃え（バイイングパワーを発揮し仕入コストを抑えることができる）により、超・効率的な経営を行ってきた。この効率性こそがコンビニモデルのコアではないのか。

仮にそうだとすれば、シニアコンビニは従来のコンビニの高効率経営を支えてきた要素を、すべて排除することになる。高齢者にゆったり感をといった配慮は、さらに坪効率を悪化させることになるだろう。それでも一人あたり単価が上がれば、ギリギリ採算が取れないこともないのかもしれないが、採算面で厳しいのは間違いない。

いまのところローソンの客単価は585円、業界トップのセブンイレブンが636円となっている。この50円の差をどう見るか。ちなみに主宰本部総売上高営業利益率でみれば、セブンは36％でダントツのトップ、ローソンは2位ながらセブンの半分以下の17.7％でしかない。

もしローソンの狙いが当たったとして客単価が若干増えたとしても、利益率は落ちるのではないだろうか。などといったことはハーバードでMBAを取っているローソン・新浪社長は先刻承知の上に違いない。であればどこかに勝機を見出しているのだろうが、それが何なのかは今の時点では不明である。

セブンの方では、とりあえず生鮮品の扱いには極めて慎重だ。鮮度管理、廃棄ロスと考えればおいそれとは手を出せないといったところで、このあたりにはセブン流の計数感覚が生きている。といってもシニア対策を何もやっていないわけではない。セブンがやっているのはご用聞き＆宅配サービスである。

セブンがうまいなと思うのは、コンビニのビジネスモデルそのものには手をつけず、現在の店舗機能に配達員といった人的要素を加えることで高齢者対応を取っている点だ。これなら本質的なコスト構造は従来のままであり、すなわちセブンのコスト競争力を活かすことができる。仮に見込み違いで商圏内で宅配ニーズがない場合は、配達員を雇わなければすむだけの話だ。

ローソン対セブンのシニアを巡る争いは、最終的にはシニアのニーズとそのニーズを満たすためのコスト構造の争いになるのだろう。極論すればシニアが求めているのは、自分で店まで出かけていき、あれこれと品定めをしながら買い物をすることなのか、それとも限られたアイテムの中から選んだものを電話一本で持ってきてもらえる利便性なのか。

これはそう簡単には決着のつく話ではない。だが、コンビニエンスストアの魅力は、その名の通り利便性にあるのではないだろうか。だとすれば、セブンの戦略の方が理論的には合っていると個人的には思う。

昨日のI/O

In：
『Web屋の本』
Out：

昨日の稽古：西部生涯スポーツセンター・軽運動室

・基本稽古
・移動稽古
・ミット稽古
・組み手稽古

昨日のBGM

FUSE ONE/Fuse
Ganasia/Kazumi Band
Rare Collection/Jaco Pastorius
Blow by Blow/Jeff Beck