なぜmixiは独り勝ちしているのか


国内シェア47.4%


『クープマンの目標値』にあてはめれば相対的安定シェア41.7%を超えている(日経産業新聞8月4日)。これがソーシャルネットワークサービス(SNS)市場でのmixiのシェアだ。相対的安定シェアを握ることは、次のようなポジションを占めることを意味する。

市場で首位のブランド、ないし企業が41.7%のシェアを占めている場合、トップの地位は安定しており、不測の事態に見舞われない限り、逆転されることはない。この数字はシェア獲得の最終目標として掲げられることが多い。トップにこの数字を握られると、下位ブランドや企業はシェアを上げにくくなる。またこのような市場では、特別に有利な条件がない限り、新規参入しても成功する確率は極めて少ない。
(森行生『シンプルマーケティング翔泳社、2000年、185ページ)


ただし、これはWeb1.0的な世界での理論であり、いま言われているWeb2.0的な世界でも同じ理論が通じるかどうかはわからない。そもそもSNSサービスのスタート時点ではもう一つ、その代名詞的にmixiと並び称されていたサービスにGREEがある。ところがGREEのシェアは、わずかに4.5%。なぜ10倍以上もの差がついてしまったのか、いろいろいわれているけれどもその理由は不明だ。


とりあえずmixiGREEの明らかな違いはデザインだと思う。たとえば色使い一つとってみても、mixiは暖色であったかムード。かたやGREEは寒色でクール。細かいデザインでみれば、mixiの方が曲線イメージが強い。つまり柔らかな印象を受ける。対してGREEは直線的である。シャープなのである。


だからスタート時点ではGREEは玄人好み、mixiはアマチュアっぽいなんて評価も確かあったように思う。つまりイノベーターを掴んでいたのはGREEだったのではないだろうか。ところが、アーリーアダプターからフォロワーへとSNSのユーザー層が広がって行くにつれて、一般受けするのはどちらかといえばmixi的なデザインだった。


もちろんデザイン以外にもmixiには強力にユーザーを引きつける要素がある。それは友だちのことを『マイミクシィ』と呼ぶセンスであったり、アクセス履歴を『足あと』と呼んだりするユーザーフレンドリーなムードである。こうした要素が重なって、いつの間にかGREEmixiには埋められない差が付いてしまったのだろう。


そのmixiがオーバーチュアと提携する。


オーバーチュアのコンテンツマッチ広告がmixiで提供される。提供される場所は主にコミュニティのページになるようだ。このSNSプラスアルファのモデルは、アメリカでも起こっていてGoogleが米最大手のSNSマイスペース』と広告提携している。


期せずして日米のSNSトップ企業が注目を集めることになった。まさにSNSこそは典型的なWeb2.0的なモデルなのかもしれない。Web2.0が何をさすのかについてはオライリー氏が定義している。その7つの定義の中でももっとも重要なのが『集合知の利用』だと思う。集合知といえば『Wikipedia』だけれども、これをもう少し幅を広く考えると、集合知=ユーザーが創った(=考えた)コンテンツの塊と捉えられるだろう。


であれば、まさにmixiこそは集合知である。同様に『はてな』などのブログサービスもそうだし、『YouTube』もそう。広い意味ではGoogleだってある意味、集合知だと思う。だからそうした集合知が集まってくる場を提供することが、Web2.0的な世界で成功するビジネスモデルなのではないのだろうか。


と考えてみると、mixiGREEに差がついた理由もわかるような気がする。みんながよってたかって自分の知(というか意見というかコメントとか写真とか音楽とかなんでもありだけれど)を提供したくなるためには、ユーザーフレンドリーであることが重要なポイントなのだ。


ユーザーリテラシーは5年前と比べれば相当に高まってきている、ブロードバンド環境も普及した。これからは、どの世代の、どんな集合知を集めるのか。そのためにネット上にどんな場を提供するのか。そのサプライヤーが、これからのWeb2.0的ビジネスモデルでの勝ち組となっていくのだと思う。




昨日のI/O

In:
Out:


昨日の稽古:

・レッシュ式腹筋、腕立て
・ノーマル腹筋、拳立て

昨日のBGM

Queen˘/Queen
Every good boy deserves favour/The Moody Blues
The Superior Sound of Elton John/elton John