届くメディアはどれ?


3年で2割がシフト


TV広告費の2割が2010年までにオンラインビデオ広告シフトする。アメリカで広告関係者を対象に行われた調査で、そんな結果が出たそうだ(→ http://zen.seesaa.net/article/27790946.html)。でも果たして2割程度で済むんだろうか。


つい先日、GoogleYouTubeiTVのことをエントリーしたばかりだけれど(→ http://d.hatena.ne.jp/atutake/20061118)、スポンサーサイドからメディアを見るとどうなるんだろう。未だにテレビCMがベストメディア、とはどこも思っていないんじゃないか。


テレビCMの効果があやしいってことについては、少なくとも松下電工は気付いているはずだ。少し前の話になるけれども昨年末に松下は石油温風機の回収騒動のために、ボーナス商戦まっただ中にも関わらず、テレビCMはもとより一切の広告をやめた。広告の代わりに出したのが、石油温風機回収のお願いである。


これでパナソニック製品は売上がた落ち、とはならなかったのだ。
http://d.hatena.ne.jp/atutake/20060121/1137795656


トヨタもテレビCMの効果については懐疑的になっている。少なくともテレビが万能だとは絶対に思ってない。要はターゲットにメッセージなり情報なりをきちんと届けられることができればいいわけだ。と考えれば、これだけ特定小数にアクセスできるメディアが増えている中で、未だに不特定多数を対象としたテレビの有効性が疑われるのは当然の流れだろう。


水面下では(ということは、魚の目でみるとということですな)おそらく、はっきりとした流れが出ているはずだ。ただし、現時点ではまだ堰を切って雪崩が起こるところまではいっていない。いまそうなると、困る企業があまりにも多すぎるからだろう。そのテレビ局と広告代理店である。


もう5年も前、TiVoが産声を上げた時点で直ちに現地情報をレポートさせた電通でも、まだテレビ後への対応策は描ききれていないのかもしれない。とはいえ手を拱いているわけでもないはずだ。


テレビ局が意外なほどの保守体質のために動きが取れないのなら、電通などはあっさりとテレビ局を見限るかもしれない。ネット広告ではGoogleに決定的な差をつけられたとはいえ、まだ挽回の余地はいくらでもあるだろうから。


仮に今後の広告業界の争いを電通vsGoogleの戦いだと仮定すれば(日本に限ってはということですね)、やはり現時点でメジャークライアントと太いパイプをもつ電通が圧倒的に有利である。それがわかっているからGoogleはマイクロマーケティングにシフトしたはずだ。


しかし、いずれはスポンサーサイドがメディアによる広告効率の違いに気づく。コストパフォーマンスをシビアに問いつめていったときに、各商品ごとに、それぞれのターゲットに応じて最適なメディアがチョイスされる時代になるだろう。


そのときテレビCMは生き残ることができるのか。全滅することはないにせよ、今のような状況でなくなることも間違いない。そうなると質の高いテレビ番組を作る予算はなくなる。けれども、質の高いコンテンツに対するニーズはなくならないから、どこかで誰かが作ることになる。それがどこになるのか。


テレビ局のような高コスト体質の組織でないことは確かだと思う。加えてとりあえずテレビCMがオンラインビデオにとって代わられることも確定的といっていいと思う。ということは、YouTubeiTV(=Apple)というGoogleの提携戦略はやはり、既存広告代理店潰しがその狙いだったとみるべきなのだろうな。


ほんと、どうなっているんだろう。5年後のテレビとか。


昨日のI/O

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山本博氏インタビュー・ラフ原稿


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・懸垂