ノイズ情報の問題


なぜ『えきペディア(→ http://www.ekipedia.jp/index.html)』が必要なのか。


前回のエントリー『地下鉄を使いやすくするCGM(→ http://d.hatena.ne.jp/atutake/20061216/1166220296)』で「えきペディア」の概要を紹介しました。では、なぜこのようなものが必要だと考えたのか。その理由をもう少し詳しく説明します。


確かに地下鉄の駅には、構内案内図がきちんと整備されています。また、インターネットを使えば、大阪市交通局のサイトにアクセスして全駅の構内図を見ることもできます。いずれも駅の状況を正確に伝えてくれる貴重な案内情報です。


ただし、一つ条件が付く。交通局が提供している情報はあくまでも健常者を対象としていることです。これがどういう意味を持つのか。健常者を対象とした情報の中には、障害者や高齢者にとっては不要なものもたくさんあるということです。


たとえば実際に車イスを利用している方に話を聞くと「私たちにとっては地下鉄の駅での移動経路はワンウェイしかない」とよくいわれます。自力で移動しようと思えば、必ずエレベーターを使わなければならない。駅に設置されているエレベーターの現状を考えれば、地下ホームから地上への経路は基本的に一つしかないわけです。


ということは、それ以外の経路情報にはあまり意味がない。障害者にとって意味がない情報が案内図に記載されているとどうなるか。それらは逆に案内図を見にくくする要因となる。つまり健常者にとっては有用な情報が、障害者にとってはノイズ情報にしかならないケースがある。これが現状の案内図の問題点でした。


経路図だけでなくトイレ情報も同様です。車イスを使っている方にとっては、車イスを使えるトイレだけがわかりやすく表示されていてほしい。いくら駅にたくさんトイレがあるとしても、車イスで使えないトイレの情報は、やはりノイズでしかない。


ていねいに情報を提供しようとするあまり、それが結果的には障害者にとっては見づらいものとなっていた。ここを改善したい。


エレベーターの全駅設置、車イス対応トイレなどハード面の整備は飛躍的に進んでいます。せっかくハード整備ができてきているのに、それを使うための案内情報が欠けているのではあまりにももったいない。必要な人に、必要な情報を、わかりやすく整理して提供すること。これが『えきペディア』の基本的な考え方です。


『えきペディア』は一方的な情報提供のメディアではありません。実際にその情報を頼りに地下鉄を使った人から、さらなる詳細情報や訂正情報を提供してもらえるプラットフォームでもあります。


その意味では、とりあえず公開はしましたが、まだまだ完成形とはほど遠いのが現状です。ぜひ、自分が使ったことのある駅の情報をどんどん書き込んでください。書き込みに健常者、障害者を意識する必要はまったくありません。


仮に健常者だったとしても、「この段差は車イスでは乗り越えられないだろうな」とか「このあたりの凸凹は車イスには危ないだろうな」といった具合に、ほんの少し想像してもらえればいい。ちょっとした気配りや優しさが、きっとみんなの役に立ちます。


もちろん間違ったことを書き込むことだってあるかもしれません。それでもいい。間違いがあれば、誰かがそれを指摘することで改善できる。


このブログをお読みの方の中に大阪近辺にお住まいの方、あるいは大阪の地下鉄を利用される方がおられれば、ぜひ『えきペディア』にアクセスして、情報を書き込んでいただければと思います。書き込みには登録が必要ですが、アドレスを入れていただくだけの簡単な設定となっています。どうぞ、よろしくお願いします。




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