本社は上海に


302万円vs385万円


日韓を代表する自動車メーカーの初任給の比較である。日本代表はトヨタ、韓国代表は現代自動車。さて、どちらが高いか?


上記でいえば302万円がトヨタ、385万円が現代となる。ソニーサムスン電子新日本製鉄ポスコNTTドコモSKテレコムと、各業種ごとに日韓を代表する企業同士を比べてみても、やはり大卒初任給はいずれも韓国の方が高い(日経産業新聞3月23)。知らなかった。


初任給ではすでに日韓逆転が起こっている。


では今後、アジアにおけるビジネスの中心都市はどこになるだろうか。考えるべきは時間軸の中で起こる変化だ。それも最低5年ぐらい先のことを考える必要がある。5年後も東京がアジアで中心的な役割を担っているだろうか。


これは他都市との比較をみる必要がある。とりあえず5年ぐらいのスパンであれば東京に劇的な変化が起こっている可能性は低いだろう。もし大地震でも起こり首都機能が壊滅的な打撃を受けたりすれば話は別だが、こればかりは予測不可能である。もちろん東京とライバル諸都市を比較して、地震が起こるリスクをある程度計算に見込んでおくことは必要かもしれないけれど。


ちなみに話は少しそれるが、トヨタ自動車はかなり真剣に東海大地震への備えを進めているらしい。地元の人に聞いた話では本社機能の名古屋シフトや、東名高速道路が使えなくなったときのバイパス整備(これは国がやったのでしょうけれど)なども着々と完成している。たしかに地震が起これば豊田市の方が受ける被害は大きいそうだから、トヨタの対応はきちんとしたリスク管理といえるのだろう。


地震の話である。東京、上海、香港、シンガポールあたりを比べたときに、どこがいちばん地震に弱そうか。とりあえず香港が強いのはわかっている。これまでに地震が起こったことがない、と確か現地で聞いた記憶がある。だから、あんなにも密集してビルを建てて平気なのだと。もっともビルに関しては手抜きも多いらしくて、何の外的要因もないのにいきなりビルが崩れ落ちる、なんて話も耳にしたことがあるが。


上海、シンガポールについては情報を持っていないのでわからない。とりあえず東京が危ないことはわかっている。では空港や港湾などの物流を考えればどうか。これは一方的に東京の負けとなるだろう。


さらにアジアの主要5都市で働くビジネスパーソンへのインタビュー結果ではどうなったか。


5〜10年後、アジアの経済センターは上海になるとの答がもっとも多かったらしい(日経産業新聞3月23日)。上海、香港、東京の比較ではビジネス市場規模、物価の各項目で上海が一位評価となった。投資環境ではわずかに香港が勝っているが上海もほとんど変わらない。東京が優れているのは情報・通信のインフラ整備と治安。さすがに治安は今のところ東京がダントツで高い評価を得ている。


ただし、これはあくまでも現時点での将来予想である。当然、この予想通りにことが進んでいくとは限らない。限らないが、たとえば通信インフラなどでみれば、もしかしたら一気に上海が東京を抜く可能性もある。たとえば電話の進化について考えてみればいい。


公衆電話から始まり、各家庭への電話普及、そして携帯電話の一人一台時代へと東京で起こった進化はリニアである。ところが上海では公衆電話さえろくに整備されない状況から一気に携帯一人一台時代へとジャンプアップしている。あるいはネット接続についても同じことがいえるだろう。日本が電話回線、ISDNADSLから光ファイバー、そして近い将来無線LANへと連続的に変化しているのに対して、上海は電話回線などをすっ飛ばしていきなり光ファイバーである。


要するにインフラ整備に関してはおそろしく後発であったことが幸いして、これからの整備はすべて最新鋭のものを導入していけるのが上海ということではないだろうか。リニアモーターカーだって走っているしね。非連続的な成長が可能、これが上海の秘める魅力だろう。


7年前から3年前まで、年に2、3回は上海を訪ねていた。その間に行くたびに高速道路から見えるビルの風景が変わり、空港も新しいのができた。街を歩いても最初は自転車の洪水だったのが、車の洪水に変わっていった。いま、どうなっているのか知らないけれど、もしかしたら欧米ビジネスパーソンが急激に増えている可能性もあるだろう。


関空から飛行機に乗ってしまえば、実質は2時間足らず。関空からの便が増えたおかげで上海なら日帰り出張も可能である。5年先のビジネス展開を考えるなら、今から上海に本拠地を置く、という選択肢もビジネス次第ではあり得るのかもしれない。


昨日のI/O

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