土曜授業復活賛成


賛成8割


土曜授業の復活についてのアンケート調査の結果である(日本経済新聞6月4日・朝刊)。さらに土曜授業を復活させるなら、どの程度の日数がいいかという質問に対しては、約半数が毎週と答えている。


昭和35年生まれの感覚では、学校は土曜日もあるのが普通だった。ただし土曜日は午前中で終わりである。小学校なら集団下校、中学高校時代は昼からたっぷり練習、大学は塾のバイトの日となっていた。


それが週休二日制となったのは「ゆとり教育」と呼ばれる教育改革のおかげである。その「ゆとり教育」では次の三つの指針に基づいて学習指導要領が改訂された。
一.総合的な学習の時間の導入
二.完全学校週五日制の実施
三.学習内容の三割削減


とりあえず知識偏重の詰め込み教育からの脱皮を目指したらしいが、それが功を奏したのかどうかは定かではない。ゆとり教育第一世代が入学してきた大学の実情については以前このブログでも書いたことがある。なかなかに悲惨な状況のようだ(→ http://d.hatena.ne.jp/atutake/20070420/1177029911)。


ちなみに、このとき書いた記事には現役の先生(小学校時代の同級生でもある)がコメントを付けてくれている。彼のコメントによれば「私の実感では、「ゆとり教育」で、学校は、ゆとりが無くなり、放課後も残して勉強させたり、夏休みを減らして、登校させたり、かえって子ども達も先生も大変になったという印象を受けています」とのことだ。


これじゃ何のためのゆとり教育なのか、さっぱりわからない。


私学で土曜を休みにしているところは少ない。特にいわゆる進学校ではまずない。なぜか。日本の歴史を振り返ってみても、少なくとも明治以来は教育で「ゆとり」などということはまったく言われて来なかった。おそらくは小学校、中学校レベルでは「ゆとり」などは不要だからだ。


総合学習に関しては、その内容がよくわからないのでノーコメント。ただしどう考えてみても学習内容の三割削減はまずいと思う。あるレベルまでの教育では詰め込みは絶対に必要なのだ。もとより個人差のある話だが、一定レベルまでの知識の詰め込み(正確には蓄積というべきかもしれないけれど)がないと、頭の中での知識の連鎖反応や融合などが起こらない。これはまず間違いない。


ただし、これまた受容量や受容スピードにも個人差があるから一律的な詰め込み教育はよくない。それをやるとついていけない子どもが必ず出る。だから基本的には個別対応が必要になる。とはいえ絶対的な知識の詰め込みは必ず必要だ。国が何をどう考えて学習内容の三割削減などを持ち出したのか、ここが最大の謎である。まさかとは思うが、国民の大半がバカでよいとでも思っていたのだろうか。


少し詳しく事情を知っている中国を例にするなら、かの国では勉強ができるようになることがもっとも手っ取り早く経済的に豊かになる道である。だから幼い頃から一生懸命に勉強する子が多い。学校サイドもそうしたニーズを受け入れるべく、夕方から夜間の補講などで対応している。晩ご飯を食べてからもう一度学校へ行って勉強するのである。もちろん国家的レベルでも教育による人材育成は最重点課題である。


いくらネットで検索すればいろんなことがわかる時代になったとはいえ、ある程度の知識がないと、そもそも何を調べればいいのかさえわからないだろう。そして調べたことを元にして自分なりの考えをまとめていくためには、自分の中に知識のマップができていることが大前提となる。そもそも考えるというのはそういうことだ。


いろんな知識が頭の中にあって、それらが新しい知識や情報にふれることをキッカケとして活性化され、新しい考えが形成される。これが知識から生まれる「知恵」というのものではないのだろうか。


勝手に推測するなら、総合学習がめざしたのは、こうした知恵の育成なのではないかと思うが、そのためにはあらかじめ知識が蓄えられていなければならない。そして知識を貯えるためには、それなりの学習時間が必要なのだ。だから土曜日も休みじゃない方がいい。


ただ学校の先生だけが週休二日制を享受できないのはかわいそうというか不公平という話もわからないではない。わからないでもないが、そこは学校には夏休み、冬休み、春休みがあるのだから、その期間を利用して実質的な休日数を週休二日制と同等レベルにしていただくことで調整はできると思う。


土曜授業はただちに復活させるべきだと思う。じゃないと資源がなく、食料もない国をこれから担っていかなければならない人たちに、考える力(=生きる力である)もないというのは、あまりにもひどい話ではないか。いや、ほんとに。



昨日のI/O

In:
『SPIN式販売戦略/ニール・ラッカム』
Out:
某社ソフト添付小冊子原稿
サントリー清宮監督インタビュー原稿
某社ソフト販売用パンフレット

昨日の稽古:富雄中学校武道場

・準備体操
・補強運動
・基本稽古
・ミット稽古(膝蹴り・ワンツー・回し蹴り・前蹴り)
・型稽古(裏太極一)
・組手稽古