男は太く、女は細く


170.1センチ、69.8キロ、25


40歳代男性の平均値らしい。身長、体重とBMI値(=体重÷身長÷身長)である(毎日新聞2007年10月7日朝刊)。40代女性となると身長157.1センチ、体重52.8キロとなっている。この手の数値で大切なのは、経年変化である。その変化には明らかな傾向が見られる。


すなわち男性は太く、女性は細くなっているのだ。あるいは、こう言い換えてもよいのではないか。「男性は醜く、女性は美しく」。もちろんこうした美醜の基準はところ変われば変わるものだし、時代によっても大きく異なる。だから一概にでぶっちょになるのが醜くなることであり、逆にスリムになるのが美しいとは必ずしもいえない。


が、少なくとも現時点での美醜感覚で言えば太い=醜い、細い=美しいといっても差し支えはないと思う。そこで問題は、なぜそうなってきたのかである。


自然界の動物たちは基本的にメスよりもオスの方が美しい。これが相場だ。クジャクが典型的であり、ライオンもそう。なぜかといえば動物界ではオスがメスを引き寄せることになっているからだ。そのためにオスはできるだけ美しく、派手な姿をして目だつ必要がある(ということらしい。たぶん、どこかでそんな解説を聞いたことがある)。


という動物界のベーシックなルールをそのまま人間に当てはめることには多分に無理があるのだが、少なくともこれまえは男女間で明らかな美醜の違いはなかったはずだ。男女のどちらかが一方的に醜化する傾向などはまったくなかったといえるだろう。ところが少なくともこの12年間の変化には、明らかな傾向が出ている。この間に一体何が変わったのだろうか。


この十数年とそれ以前というタームで比べるなら、大きな変化が三つぐらいある。一つは女性の本格的な社会進出である。きちんとフルタイムで、男性と同等(もしくはたいていの場合は男性よりも優れて)仕事をする女性が増えてきた。その結果、その二として晩婚化が進んでいる。そのためにその三の少子化が進んだ。


変化はこの三点セットである。では、こうした変化が男女の容姿・体格に何らかの影響を及ぼすだろうか。かなり深刻な影響を与える可能性があると思う。


女性サイドの変化三点セットの行き着く先は、男性がいなくとも生きていけるわ的人生への転換だろう。そして多くの女性が家庭に入るよりも外の世界で生きていくことを選ぶようになった。外の世界、すなわち不特定多数の他者に見られる世界である。人は他人の目を意識するとき、キレイになろうとする。だから女性サイドでは職業観(=人生観)の大きな変化があり、それが原因となってより美しさを求める方向へとシフトしていった。


では一方の男性サイドはどうなのだろうか。


この12年間で太り出したということは、やはり女性サイドの変化と何らかの相関関係があると考えるべきだろう。なぜ男性がぶさいくになってきているのか。美しくある必要がなくなってきたからという仮説は成立しないだろうか。男性も女性を引きつける必要があるなら美しく(カッコよくとかハンサムとかいろんないい方はあるけれど)、とりあえずは魅力的ある必要がある。しかし女性サイドが男性を必要としなくなるのと同時に、男性も女性を必要としなくなったとは考えられないだろうか。


ここは意見の分かれるところで、まず女性が男性を必要としなくなり、その結果として男性が女性を必要としても仕方がなくなったという因果関係がある可能性は否定できない。あるいはまったく別の視点から考えれば、たとえば「引きこもり」や「パラサイトシングル」が増えているのだけれど、それは男女比でみればやはり男性の方が多いように思える。これまでは少なくとも男性は学校を卒業したらどこかの時点でたいてい仕事に就き、社会に出て行くことが当たり前となっていた。が、そうした行動様式がかなり変化してきている。


ここで起こるのは女性とまったく逆の変化だろう。つまり社会に出ないのであれば他者の目を意識する必要がなくなる。するとどうしても自堕落になりがちで、その結果が太め体形となって出ている。


というようなことが、ものすごく大げさに考えると、もしかしたらいえるのではないかと思った。でも、こうした変化って日本だけのことなんだろうか、という疑問は残る。じゃあ国民が全体的にデブ化している米国などはどうなんだとか、中国などでは男性こそでっぷりとしていることが富の証だったりする社会もあるわけで一概には何も言えないのだけれど。



昨日のI/O

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『SAMURAI 佐藤可士和のつくり方/佐藤悦子
Out:
リフォーム業界動向分析


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昨日の稽古:

・レッシュ式腹筋、拳立て、懸垂