その画面は一体?


どうしても気になる


横に立ってのぞき込むことができないなら、その後ろの窓ガラスに映っているモニターでも良いから見たい。電車の中でノートパソコンを開いている人がいると、もう気になって気になって仕方がない。


一体、この人は何をしているのか。気になりませんか。新幹線の中ならともかく、普通の電車や地下鉄の中でということになれば、それほどまとまった時間があるわけでもないはずだ。それでも寸暇を惜しむかのようにノーパソ開いている。そこまでして取り組んでいるのは、どんな作業なのか。


気になるのに放っておくは腹ふくるる業なりである。


なので、できるだけ何気ないふうを装いながら(でも、私の行動をじっくりと観察している第三者の目から見れば明らかにおかしな素振りと映るだろうけれど)、ノーパソのモニターをのぞきこむ。地下鉄ならその人の前に立ち、後ろの窓ガラスに映っている画面を凝視する。新幹線の場合は、車両の後部から前へゆっくり歩きながら左右に素早く視線を飛ばす。


別に具体的にどんな仕事をしているのかとか、あるいは文章を書いているならその内容がどうなっているのか、といったことまでを知りたいわけではない。基本的には使っているアプリケーションは何か、そのアプリを使ってどんな作業をしているのかを知りたいのだ。


これまでにじっくりと見てきたおよそ300件ぐらいのケースからすれば、半数ぐらいがメールである。実際、カードスロットにモデムを差してメーラーを立ち上げている人が多い。なるほど普通のビジネスパーソンにとっては返事を書かなければならないメールがきっとたくさんあるのだろう。


続くのはPowerPointか。これは新幹線(特に東京行き)で見かけることが多い。これから大きなプレゼン控えていてその最終の詰めをしていたり、ブツブツとつぶやきながらシミュレーションを繰り返している人もいる。東京までの2時間ちょっとはこうした作業をするにはちょうどいい。


パワポユーザーと同じぐらい多いのがExcelである。これについては東京の地下鉄で見かけた女性の表さばき(実に『さばき』という言葉がぴったりするぐらいの動かし方だった)が実に見事だった。Let's Note(車内ノーパソの9割ぐらいがこれじゃないだろうか)の小さな画面にいくつも表やグラフを開いていて、それらを頻繁に切り替えたりスクロールながら(このスクロールが速いのなんの)何か文字を打ち込んでいる。


その作業ぶりから察するに、どこかの企業のデータをさまざまな視点からチェック&吟味しながらレポートの下書きでも作っているかのようだ。と思ってその女性の顔を眺めてみれば(まず興味を引かれるのがモニター画面なので、それを操っている人物の顔がどうなっているかはあまり関心がない)、とても賢そうである。すごいなあ、と勝手に感心したりした。


もう一度、こいつはすごいやっちゃなあと思ったことがある。


20代後半の男性である。同じく東京の地下鉄の中、だが彼はあまり東京人らしくない。というか外見にはほとんど気を遣っていないように見える。その彼が一心不乱にキーを叩いている。ほとんどブラインドタッチである。お〜、すごい何を書いているのかと斜め後ろ横(彼は座席の端っこに座っていたのだ)のドアのところに立って見ると、打ち込まれているのは日本語じゃない。


画面も真っ黒だ。おぉ〜、プロっぽいではないか。彼が打ち込んでいたのは、恐らく何かのプログラムだ。何が何だかわからないけれどスッゲェ〜カッチョええと思った。


かくいう私も新幹線の中ではできるだけ原稿を書くようにしている。というか原稿の下書きなどを気楽に書き始める空間としては電車の中が結構良いのだ。机の前に座って「いざ」となると、書き出すのにかなりな気構えが必要になる。改まって書くとなれば、書き出しの一行目からきっちり書かねばならないなどと構えてしまう。


これに対して電車空間の中は「どうせ、まわりもざわざわしているし。そんな気合い入れて書いても、どうせ詰め切った原稿にはならへんから。まあ適当に書き始めてみよか」的気楽さがある。ということで、エディターを立ち上げていることが多い。


また最近はインンタビュー仕事が増えているおかげで、そのテープ起こしをする機会も増えている。一度JRでこれをやっていたときには、前に立っている高校生二人組がかなり興味深そうにこちらを見ていた。テープ起こしをするときにはイヤホンを使っているので、相手が何をしゃべっているのかはわからないが、明らかに私を見ている様子は伝わってくる。


テープ起こしをしている時は、相当なスピードでブラインドタッチをしている。少々打ち間違いをしてもいちいち訂正などせずに、ガシガシと打ち込んで行く。テープの音が途絶えた瞬間に聞こえてきたのは「すっげぇ〜」「こういうのブラインドタッチって言うんやで」「このおっちゃん、こうやってずっとパソコン打ったはるんやろな」「気の毒に!」といった一連の会話だった。


オウ、ノォウ!



昨日のI/O

In:
Out:


メルマガ最新号よりのマーケティングヒント

「営業の本当の仕事は?」
http://blog.mag2.com/m/log/0000190025/
よろしければ、こちらも。

□InsightNow最新エントリー
 「プロに求められるのはKYよりMY」
http://www.insightnow.jp/article/728

昨日の稽古: