初稽古で思ったこと


今年に入って初稽古を4回


初稽古といえば最初の稽古だから、それが4回もあるのはおかしい。というツッコミは勘弁していただくとして。理屈は確かにそうなのだけれど、それぞれに質がまったく異なる稽古だったので、気分としては初稽古を4回やったのと同じように感じているというわけだ。


まず最初は元旦の朝。これだけは空手を始めた次の年から欠かさずしている文字通りの初稽古である。実家の近くの高台で、琵琶湖とその向こうに昇りつつあるお日様を見ながら基本稽古を百本ずつ。トレーニングシューズを履いての稽古となるために、足の指で床を掴む感覚をもてないのが残念だけれど、とりあえず今年も稽古するぞという気分にはなれる。


形とか細部の動きにはあまりこだわらず、ともかく力一杯に突き・蹴りを百本。新年のあいさつみたいなものだ。


次が月曜日に道場での初稽古。といっても少年部の指導がメインなので自分の稽古は子どもたちが帰った後の20分だけ。道場の鏡の前で昨年、塾長に教えてもらった新しい動きを確認しながらやる。これも突きと蹴りだけの基本稽古のみ。ところが、これがうまくできない。単純な突き一つとってみても、いくつかいわれているチェックポイントをきちんとこなせていないことがわかる。時間はわずかだけれど、汗びっしょり。かなり密度は濃い。


そして木曜日に大人の稽古。基本と型をマンツーマンで指導(というか、まあ一緒に稽古)する。とはいえ帯はこちらが茶帯なので見本になるような動きを示さなければならない。一対一で相手が目の前にいるからごまかしがきかない。これも良い稽古になる。


やがて一人、人数がふえたところでミット稽古に移る。蹴りと突きを2セットずつ。最初はゆっくりとフォームを確認しながら、体が慣れてきたら自分なりに力を入れて、という案配でのミット稽古を繰り返す。ミットを蹴ったり突いたりするのは実に久しぶりで、これがとても気持ちよい。調子に乗って強く突きすぎて「手首ぐきっ」をやってしまったけれど、終わった後はとっても爽快である


最後に黒帯の先輩が来られたので、目馴らし程度の組手稽古で締めくくる。これが三回目の初稽古。


そして一昨日が今年最初の塾長稽古となった。ここでまた目からウロコがいくつも落ちる。たとえば拳の握り方一つとってみても、これまであまりにも無意識・無自覚だったことがわかる。想定する状況によってベストな握り方は違ってくるわけだ。グローブや拳サポーターを付けて、ルールの決められた場で戦う(というよりも組手稽古をするといった方が正確だけれど)ことを考えて拳を握るのか、万が一の状況に追い込まれた時のことを頭に入れての動きを考えるのか。


単純にいうならばスポーツと武道の違いである。しかも、この違いはかなり本質的な違いにつながる。スポーツ的な空手を追求していけばおそらく試合に出てそこそこの動きをすることぐらいはできるようになるだろう。しかし、その先にはたぶん武道的な空手はない。スポーツ空手を応用して武道空手にもっていくのは難しい。


ところが逆もまた真なりとはならない。武道的な空手を稽古して身につける動きは、スポーツ的な空手に応用することができる。もちろん、だからといってそれだけで試合に勝てるという話ではないけれども。この先、試合に出ることなどまずない自分が目指すべき道がどちらなのかは言うまでもない。


塾長に教えてもらう武道的な空手はその奥の深さが実に興味深い。ポイントはもちろん拳の握り方だけではない。たとえば突きの時の肘の軌道はどうあるべきか。極端な話、逆突きの理想の軌道はたった一本のラインしかない。起点となるときの肘の位置、そこから目標に向かって拳を押し出していく導線、最終的に肩がどれぐらいまわって拳がヒットポイントに達するのか。そのときの軸足と後ろの足の位置関係や頭の位置。こうした要素が組み合わされた上での最適解は一つしかないはずなのだ。


そのフォームをまず見つけることが当面の課題である。そして自分で納得のいくフォームにたどり着けたなら、それを自分の体の自然な動きとなるように練り上げる。これが基本稽古の意味だ。蹴りもまた然り。軸足の動かし方の微妙な角度の違いまでを意識して稽古するかどうか。意識が稽古の質を高めるのだと思う。


たとえ基本稽古といえども、頭の中にどんな状況を想像しながら一本一本を繰り返すかによって質が変わってくる。これまでとは少し質の違う稽古を今年は続けるようにしたい。




昨日のI/O

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昨日の稽古: