ヤル気がでる空間とは


オフィスが生産性を左右する:82%


翔栄クリエイトが昨年実施した「オフィス環境に関する意識調査」の結果である(→ http://www.syouei.net/news/071219office_enquete.pdf)。そりゃそうだ。仕事をバリバリやろうという気にさせてくれる空間があれば、ここにいるだけでも憂鬱になるなあという場所もある。


「現状のオフィスでどれぐらいの時間を毎日集中できているのか」という問いに対しては、3〜4時間の人が24%、4〜5時間の人もほぼ同じとなった。オフィスにいる人の半数ぐらいが3〜5時間ぐらいは集中できているようだ。就労時間が8時間とすると、だいたい半分ぐらいである。ということは残りの半分はあまり集中できていないことになる。


オフィスでもっとも集中できる場所はと尋ねれば、やはり自分の机と答える人が圧倒的多数で約9割。二番目が会議室だが、その率は一挙に12%まで落ちる。最近の「オフィス(といってもピンからキリまであるだろうけれど)」がどんな感じなのかがさっぱりわからんので、ここはコメントのしようがない。


とりあえずよく知っているオフィスといえば、文具メーカーがショールーム兼用として作ったフリーアドレス制のもの。日中は営業マンは社内にいないのだから営業マンの人数分だけ机とイスを用意するのは無駄。バッサリと割り切って作られたオフィスは、実にゆったりとしていた。


営業マンが書類仕事をするためのスペースはもちろんきちんと用意されている。仕事の内容によって広さの異なる机を選べるようになっている。資料はすべてキャビネットに収めておき、必要なものだけを引っ張り出してきて仕事にかかるようになっている。とはいえノートパソコン(これはある程度好きなタイプを選べるようになっていた)さえあれば、またそれがネットにつながっていればいまどきの基本的な仕事はだいたいこなせる。業務フローもオフィスのリニューアルに伴った見直されているわけだ。


ただしまだまだ世の大半のオフィスは、フリーアドレス制とはなっていないだろう。未だにいわゆる事務机が並べられて、グループの長が睨みを利かせるような配置になっているところが多いのではないだろうか。そんなスペースでは正直なところ、仕事したくないなあと思う。というか書いたり考えたりする仕事は自分にはできないんじゃないだろうか。


大学を卒業して最初に入った会社が、この手のいかにもオフィスだった。そこで何とか画策して、いつもできるだけいちばん後ろの端っこをキープするよう務めていた。そこだとまだ落ち着くのだ。やり手の営業マンの中には、真ん前のど真ん中を好む人もいた。素直に、すごいなあ、えらいなあと思った。省みれば仕事の何たるかもろくにわかっていなかった時代である。集中も糞もなく、生産的なことは何もできていなかった。


やがてその会社を辞して、下請け先だったデザイン事務所に移り、そこで「さっすがデザイナーのいるところ」的スペースをあてがわれることになる。何しろ床が真っ黒のフローリングである。机も横幅が160センチぐらいの特注サイズで、これが床の真っ黒に対して真っ白。ミーティングスペースに置かれているのもやっぱり真っ白の「マレンコ」のソファだった。要するに白と黒だけのモノトーンスペースである。


真剣にデザインに打ち込むためには、余計な形や色が目に入らない方が良い。自らデザイナーである社長の方針で、こんなカッコええスペースが作られていた。


こういう空間にいると自然と緊張を強いられる。生産性はクリエイターとしてのキャリアがないために低かったけれど、集中はしていた。オフィスはその彩りや空気感がそこで過ごす人の意識に大きな影響を与えるはずだ。どんな空間が集中しやすいかはもちろん個人差も大きいだろう。


と考えれば、やはりひろ〜い空間、それもグレーベースのいかにも無機質なスペースにたくさんの机を並べて、というオフィスではあまり生産性は高くないように思う。無理にでもパーティションでいくつかの空間に分けて、たとえばここはグリーン基調の小部屋、ここはちょっとホット系な色合いのスペース、クールな雰囲気を好む人にはモノトーンルームなんてぐあいに、働く人が好みに合わせて選べるようにすれば、良いのかもしれない。


個人的には、いまは自宅の仕事部屋がメインワークスペースとなっているけれど、駅前のスタバやミスド近鉄電車(特急でも普通の快速急行でも)や新幹線、さらには出張先のホテルやカフェと、どこででも仕事ができるようになった。集中力が高まったのかもしれないし、まわりを無視する力が強まったのかもしれない。


昨日のI/O

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高島屋の福袋に隠された狙い」
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昨日の稽古:

拳立て、指立て、腹筋