カーシェアリングの時代


200円が限界の人が32%


ガソリン代がどんどん高くなっている。いまハイオクがリッターあたり160円ぐらい、この先一体どこまで上がるのか。不安を感じている人も多いだろう(私だってそうだ)。そこで次のような調査が行われた。題して「レギュラーガソリンが一リットルいくらまでなら自動車を保有するか(日経産業新聞2008年2月18日付け14面)」


その結果は、次の通り。
150円まで:24.1%
160円まで:15.4%
170円まで:6.4%
180円まで:7.4%
190円まで:1.5%
200円まで:32.5%(前掲紙)


ということは、仮にガソリン代が200円を超えてしまった場合、実に9割近くの人に自動車を手離そうと考える可能性がある。そして悪いことに今のままでいけば、200円超えは決して非現実な数字ではなくなってくる。ガソリンが値上がりしている理由は原油価格の高騰にある。そして現在の原油高騰は「産油国の政情不安、米国内の在庫不足を材料にした投機的な動きだ(→ http://sankei.jp.msn.com/economy/business/080106/biz0801060310000-n1.htm)」と一般的には説明されている。


ほんまやろか、と思う。なぜなら中国では爆発的なマイカーブームが起こっているという。もちろん今の中国ではまだ、自動車をサクッと買える人たちの割合はそれほど高くないだろう。3年ほど前に中国経済問題の専門家に聞いた話では、当時の中国には富裕層(年収1000万以上を指すらしい)が全人口の5%に満たないとの話だった。とはいえ、たかが5%などと侮ってはいけない。総人口13億×0.0.5がいくらになるか。6500万人である。


仮にこの人たちが全員、マイカーを持つとなるとどうなるか。日本の自動車台数が2006年度の統計で7800万台(http://www.utms.or.jp/japanese/condi/index.html)である。ほぼ日本に匹敵するだけのクルマが中国を走り回ることになる。ここ3年ぐらいは中国に行っていないので現状がどうなっているのかは知らないが、以前でさえ北京の幹線道路は慢性的な渋滞に陥っていた。片側3車線とかのでっかい道路がクルマで埋まっているのだ。


今では、もっとひどい状態になっているのではないだろうか。しかも中国ではまだまだ燃費効率の高い省エネ自動車は少なく、逆に整備不良で燃費の恐ろしく悪いクルマもたくさん走り回っている。ガソリン垂れ流しといってもよい状況があるのではないか。


つまるところ仮に今の原油高騰が投機による一時的なものだとしても、今後、中国やさらにはインドなどでの原油需要が増えれば、その価格が高まっていく可能性は否定できないだろう。だからリッター200円の時代は意外に早く来ることも考えられるわけだ(もっとも原油価格が上がると、たとえばオイルサンド等からの製油も現実的な選択肢となるから、一概には言えないけれど)。


そうした事態を見越してというわけではないのだろうが、カーシェアリングサービスが少しずつではあるけれども着実に伸びてきているらしい。特に都心部のマンションでは居住者専用にカーシェアリングサービスを提供することが、差別化要素となってきているそうだ(日経産業新聞2008年2月14日付け5面)。


すでにクルマもコモディティ化している。もちろん今でもクルマにステータス性を求める人はいるけれども、自動車ユーザーの半分ぐらいはクルマは単なる移動のためのツールと割り切っているのではないだろうか。であるなら、必ずしもクルマを自前で持つ必要などまったくない。使いたいときに使えさえすれば、ランニングコストが低いほど費用対効果は高まる。カーシェアリングならイニシャルコストはゼロ,人気を集める素地は十分にあるわけだ。


ガソリン価格が今後も上がり続け、リッター200円を超えるような事態になったときには、このカーシェアリングが一気に普及することも考えられる。それはそれで温暖化対策としてはとてもいいことではあるけれども、一方では日本に残された数少ない基幹産業である自動車産業の衰退に間違いなくつながるわけで一概にいいことばかりではない。


ただし、中国やインド(確か28万円のクルマが新発売されたというニュースがつい最近話題になったはずだ)で今後、急激なマイカーブームが起こることはほぼ確定的である。そのとき、原油の需給バランスがどうなるのか。原油自給率がわずかに0.2%しかない日本に暮らす自分たちにどんな選択肢があるのか。今から考えておく必要があると思う。




昨日のI/O

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『国家論』佐藤優
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昨日の稽古:

・基本稽古(部屋を整理したら、また稽古できるようになりました)
拳立て、腹筋、懸垂