中学入試の算数問題


その昔『大学への数学』という月刊誌があった


もしかしたら、このブログを読まれている方の中に「ああ、あれね。やったやった。なんちゅうか、めっちゃ難しい問題やのに、オォ〜と感激するほどスマートな解き方を教えてくれるやつ」と思い出される人がいるかもしれない。私自身は文系志望であり、すなわち数学は大の苦手であった。が、浪人時代はなぜかこの雑誌を買っていた。


あくまでも買っていただけで、数学好きのエリートのために存在した難解数学勉強雑誌にくまなく目を通していたわけではない(目を通せるわけもない)。そもそも現役時代には、その存在すら知らなかったくらいだ。が、こちらは宅浪生である。情報はないし、先生もいない。何かに頼らざるを得ない。あるとき本屋さんで『大学への数学』を見つけて以来、毎月欠かさず買うようになった。とはいえ、熱心な読者だったわけではもちろんない。ただ行列とベクトルが絡んだ問題の解き方を読んで「うっそー、そんなに簡単に考えてええの!」とびっくりしたことだけは、あれから30年近く経った今でも覚えている。


さて。


今年は息子が中学受験である。大したことはできないにせよ、なんとかサポートしてやりたい。息子はやはり親に似たのか、国語は得意だが算数が苦手である。どうしたものか、と思って本屋をぶらぶらしていたら『中学への算数』なる雑誌が目に飛び込んできた。なんじゃこれはと思って中身を見れば、これは明らかに『大学への数学』の中学校版ではないか。出版社が同じであるかどうかまでは調べていないが(調べたら同じ東京出版だった)、基本的な構成から日々の演習問題へとつながり、さらには最後にチョー難しいチャレンジ問題とその添削サービスがあることまで同じ。


これだ、とばかりに速攻買ってやってみた。そう、息子に見せる前に、まず自分ができるかどうかを試してみたのだ。だって、自分がさっぱり「わけわかめ(これは完全に時代遅れの表現らしく、息子の世代は意味プーというらしい)」なテキストを使って息子に勉強させて「お父さん、ここわからへんねんけど、教えて」とでも言われ、冷や汗たら〜りで「すまん、お父さんもわからんわ」となった日には、父親の沽券に関わるではないか。


で、日々の問題(毎日、一問の設定となっている)にチャレンジしてみて、今の中学受験のレベルを思い知ることになった。もちろん、まったく歯が立たない、などという難問は、それほど多くはない(が、確実にある)。しかし、これは楽勝や、という問題は一つもない。正直に言うと一読して「なんや、こんなんめっちゃ簡単やないか」と思った問題はいくつもあった。しかしである、解けたと思った問題の答え合わせをしてみると、ことごとく間違っていた。


そもそも問題の意味するところ、条件をきちんと読み取れてさえいないのだ。これはいかんとばかりに、気合いを入れ直して取り組んでみて、おもろいと思った。中には三元一次方程式に不等式による条件付けなどを駆使すれば解けないこともない問題もある。ただこうしたやり方は、純粋に解法の一つとして考えるならあり、だとは思う。しかし、そういういわば小学生にとっては違法的な解法をとると、計算が複雑になりたいがい計算間違いを犯す。


図形問題なども三平方の定理から平方根などのこれまた反則技を駆使すれば、何とか解ける問題はある。ところが「ええか、これはルートっちゅうてな、二乗(二乗って何?と突っ込まれる)、2になる数のことや」なんて説明しても、さすがにまだすっとは理解できない。


それより何より、解法をじっくり読むと、そんな面倒なことをやらなくても、もっとスマートな解き方があることがわかる。「あっ、そんなんあり」的解法である。30年前に『大学への数学』で気付いた数学のエレガントな解き方が、小学生版にもきちんとあるのだ。特におもしろいのが図形の問題である。


これはほんと、最初は「えっ、そんなとこに補助線を引くの? そんなんええんかいな」などとブツブツ言わざるを得ないような状態だったが、何の事はない、これぞクリシンでいう自縄自縛の罠にかかっていたわけだ。ということで、最近は少しコツがわかり、カンも養われてきたようで、同じ問題にチャレンジしても息子に負けなくなった。


息子と同次元で勝負していては、息子のサポートにはならないわけだが、少なくとも机を並べて同じ問題に一緒に取り組み「なんや、まだできひんのか。お父さんはもうできたで」とささやかな自慢をすることで、息子の闘争心に火を点けるぐらいのことはできているのではないか。


しかし、この手の問題をさらさらと解いてしまう子どもが息子の塾にはいて、しかもその子が飛び級(つまり、まだ5年生ということ)だったりする。どんな家庭教育をされてきたのか、聞けるものなら教えていただきたいものだ。



昨日のI/O

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