100円パソコンとジレットモデル


値引額、なんと69,600円!


この大幅値引きゆえに最近流行りの小型ノートPC、たとえばアスースの『EeePC』などがたったの100円で手に入る。ついに出たか100円ぽっきりパソコンである。


もっとも、これには条件がある。いくら小型ノートパソコンが安くなっているとはいえ、それでも最低5万円はする。それを100円で売っては丸損だ。このプランはあくまでもイー・モバイルのデータ通信端末と小型パソコンのセット販売であり、さらにはイー・モバイルとのデータ通信契約を結ぶことが条件となる。


通信契約は2年である。月額基本料金が2,900円だから、これでイー・モバイルは69,600円を回収できる仕組みとなっている。すなわちイー・モバイルとしては一応、チャラになる計算だ。ただし基本料金で使える通信量は約3メガまで、これじゃ全然足りない。という人のための受け皿もちゃんと用意されていて、使い放題でも6,880円で定額となる。これは結構良心的な設定だと思う。


小型パソコンということは常時、持ち歩くことが前提となるはず。すなわちヘビーユーザーが多いと推定される。だから、このプランのユーザーの多くが通信料金上限の6,880円まで使うだろう。そうなれば2年契約で165,120円である。これぐらいになると、十分に元が取れると踏んでいるのではないだろうか。


実際、選べる小型ノートPC次第ではという条件付きになるけれども、かなり魅力的なプランだと思う。EeePCはちょっと好みじゃないけれども、ヒューレット・パッカードのミニノートには食指がちょっと動いたりしている(→ http://h50146.www5.hp.com/products/portables/personal/mini_note2133/)。


Macマニア故に毎日重たいiBookを持ち歩いてはいるけれども、外で使うのはエディターとブラウザーがほぼ9割だから、本来ならあえてMacにこだわることもない。重要なのは何よりもキーボードの使いやすさであり、次がバッテリーの持ち、である。その上でできるなら軽くて、そこそこカッコよければよい。ということで、いまのラインナップから選ぶのならヒューレット・パッカードになる。


あるいは、イー・モバイルさんがMac Book Airで通信使い放題(要するに6,880円契約)で、6万円ポッキリぐらいで買えるプランを設定してくれれば速攻買いますけれど。


さて、この100円ぽっきりパソコンのビジネスモデルは、1円携帯のパソコンバージョンである。すなわちハードを極安で提供し、通信料でハードの値引き分を回収する。俗に言う『ジレットモデル』だ。これ、以前にも書いたことがあるけれども、やはり普遍的に優れたビジネスモデルである。


簡単におさらいしておくと、カミソリメーカーのジレットが、ひげ剃り自体は採算度外視の安値で販売した。では、何で利益を稼ぐかといえばカミソリの替え刃である。ジレット製のひげ剃りには、当たり前のことだけれどもジレット製の替え刃しか使えないようになっている。ここがミソだ。


おそらくはジレットのひげ剃りは、価値/対価バランスで考えたときにはかなり魅力的に見える商品となっていたはずだ。だから「これは得だ」とばかりに購入する人が多い。そのときに替え刃がジレットのものしか使えないかどうかといったことを気にする買い手はまずいないだろう。そして替え刃自体は安いものだから、ユーザーとしては別にメーカーなどにこだわりはない。だから、当然ジレット製で構わないと考える。


さらに、そもそも単価が安い替え刃を買う時ユーザーは、その価格をあまり気にしたりもしないだろう。すなわち替え刃は値引きの対象とはなりにくい。ところが替え刃は原価も安く、定価で売ることができれば利益率は相当高くなるように設定されている。そしていったんひげ剃りを買ってもらいさえすれば、替え刃はほぼ自動的に売れて行く。替え刃には販促コストは不要である。


この優れたジレットモデルは、たとえばコピー機のメーター・チャージ制でも採用され、あるいはケータイビジネスでも取り入れられてきた。そして今回、小型ノートPCという撒き餌で本丸は通信料を稼ぐモデルに進化したわけだ。


いま、なぜイー・モバイルがこのモデルを展開しているのかといえば、おそらくはiPhoneの日本市場登場を意識しているのだと思う。iPhoneターゲットユーザーについてはいろいろな見方があるが、Appleの本命はビジネスユーザーだと思う。だから、今のうちにビジネスマンを何とか囲い込んでしまいたい、そんな危機感がイー・モバイルにあったのではないだろうか。


それにしても、イー・モバイル&MacBookAirで6万円ぐらいのキャンペーンをやってくれないものだろうか。そんなのがあれば、速攻乗り換えるのだけれど。




昨日のI/O

In:
Out:
大和学園・安田副校長インタビューメモ

メルマガ最新号よりのマーケティングヒント

「匠の技にヒントあり」
http://blog.mag2.com/m/log/0000190025/
よろしければ、こちらも。

□InsightNow最新エントリー
AmazonのOmotenashi」
http://www.insightnow.jp/article/1665

昨日の稽古:西部生涯スポーツセンター

・縄跳び
・基本稽古
・移動稽古
・ミット稽古
・組手稽古