四十歳からの空手11・技は力にあり
「120キロ担いで、スクワットやってます」
松井章圭のビデオを見て「これや。こんな上段回し蹴りを出したいんや」とすっかり感化されてしまった私は、どうすればあんな蹴りを出せるのかと自分なりに考えてみた。
ポイントはいくつかあると思った(このあたりが素人の浅はかさであり、考えついたポイントには決定的に重要な点が抜けていたことが後にわかる)。まず何よりも股関節の柔軟性が必要だと踏んだ。関節がやわらかでないと、足がしなりながらはね上がって行くことなどあり得ない。故にせっせと柔軟体操に励んだ。
おかげで両足は120度ぐらいまでは開くようになり、体を前に倒すと何とかおでこが床に着くぐらいにまではほぐれてきた。自分としては、かなり画期的な進化である。やるときゃ、やるのである。
次に目論んだのが足の筋力強化である。そこで師範代に、どうやって鍛えているのかを尋ねたところ、返ってきたのが冒頭のセリフだった。ほほぉ〜、なるほどね。それでなくとも回し蹴りを蹴るのには足の筋力が必要である。従って、軽やかに上段をびゅんびゅん蹴るためには、さらなる筋力が必要というわけだ。「筋力アップにはスクワット」が呪文のようにきっちりとインプットされた。
よっしゃ、ここはいちばん筋トレやでと一念発起した私は、近くのフィットネスクラブに入会することにしたのだ。幸い、家人がすでに会員になっていたので、ファミリー会員とかの扱いで会費も格安である。ジムはそれほど広くもなく、また新しくもなく、それ故に揃っているマシンも最新式のものなどなかったが、とりあえずスクワットとベンチプレスができれば十分だ。
やったるでぇ〜と勢い込んで行ったのはよかったが、最初からガンガンにはやらせてはもらえなかった。初回はいろいろと検査したり、こちらのリクエストを聞いたりしながら、トレーナーがメニューを作ってくれるのだ。目的は筋力強化である。空手を強くなりたいのである。と訴えると、持久力も必要でしょう、などど微笑みながらトレーナー君がメニューを埋めていってくれた。
「じゃ、まず血圧から測りましょうか」といわれて、腕にテープを巻く。かなり強い力がかかる。
「あれ、おかしいなあ。ときどき調子悪くなるんすよ、これ。まあ、いいか。トレーニング前には一応、血圧を測るようにしてくださいね」とかいわれて血圧チェックはパス。ちらっと血圧計を見ると230ぐらいを示していた。
続いて反復横跳びや腕立て伏せ、腹筋などをやる。20秒ぐらいで何回できるかを測ってもらう。一通り測定が終わった。
「40歳にしては、まあまあですね。今日は、これぐらいで終わられてはどうでしょうか」といわれたので
「せっかくだから、ちょっとバーベルとかやっていいですか」と私。
「どうぞ、どうぞ。でも最初だから軽めにしておいてください」と注意される。
さて、である。師範代がやっている120キロスクワットとは、どんなものなのか。今日の目的は、こいつをまず試すことだった。最初はどれぐらいからにしようかと思案して、そうそう昔、家人をおぶって歩いたことがあるよなと思い出し、その体重ぐらいから始めてみる。楽勝である。
じゃ10キロぐらい増やしてもいけるかな。これまた軽い軽い。さらに10キロならどうだ? いけますね。と調子に乗って最後は80キロに挑戦してみた。ダメだった。でも、がんばれば80キロぐらいなら上がりそうである。すなわち、松井章圭の上段回し蹴りも夢ではなさそうである(全然、勘違いなんだけれど)。
そして次の日の朝。なんと太ももがしっかりパンパンに張っている。これは朗報である。歳を取ると筋肉の反応もかなり鈍くなり、きつい運動をした後の張りが一日遅れ(ひどいときは二日遅れ)ぐらいとなっていた。が、バーベルスクワットは速攻効いたのだ。やで、うでしやである。
この日以降、せっせとジム通いを始めることになった。幸い、こちとら自営業である。打合せ、取材などでお客さんと会うとき以外の時間は、自分でコントロールできる。すなわち朝から夕方までの間でジム通いに使える時間は、自分で好きなように差配できる。というわけで週2回ぐらいのペースで筋トレに本格的に取り組んだ。
ただ、気になるのは、いつ測っても私の使う血圧計だけが壊れていたこと。同じジムに通う家人は「私が測る血圧計は、壊れてないよ」と言っていたのだが。ともかくバーベルスクワットの成果は確実に出ており、いつしか80キロを担いでスクワットできるようになっていた。
しかし、残念なことに、かつ当たり前のことでもあるのだが、松井章圭のような上段回し蹴りを組手で出せるようにはならなかった。
昨日のI/O
In:
高野町町長さまインタビュー
Out:
福井Lpaさま取材記事
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昨日の稽古:
・懸垂