選挙にYouTube




トータルPV1500万回


バラク・オバマ氏のビデオである。

ユーチューブには、オバマ陣営による動画が千二百本近くあり,そのトータル視聴回数は千五百万回に達する。これを支えるオバマ候補の動画作成チームは五十人。カメラマンだけでも複数が稼働し、いろいろなアングルからの撮影を行う。撮影からオンライン投稿までの時間の最短記録はほんの二十分弱で、ほとんどリアルタイムでのメッセージ発信が絶え間なく行われていることになる(日経産業新聞2008年8月14日付3面)。


だからオバマ氏が民主党の大統領候補に選ばれた、とまではいえないのだろうが、オバマ陣営がYouTubeという新たなメディアを効果的に活用したことは間違いない。すなわちYouTubeを積極的に見る世代から同候補は、大きな支持を集めた可能性が高い。


実際、YouTubeで「Obama」で検索をかければ、これでもかというぐらいにいろんなビデオがヒットする。そしてオバマ候補のビデオ画面には、ワンクリックで同氏に寄付を送れるようになっている。送れる額は15ドルから1000ドルまで。1000ドルとなるとちょっとビビるけれど、15ドルぐらいなら寄付しようと考える人は多いのだろう。


おかげでオバマ陣営は

今年の一月だけで3680万ドルを集金し大幅に記録を更新した。トータルで見ると、200ドル以下のオンライン小口献金だけで1億3500万ドルもある(前掲紙)。


一ヶ月で約40億円、小口献金だけで(恐らくは大半がネット経由で)約150億円。今やYouTubeは立派な集金マシンとしても機能しているわけだ。


しかもアメリカの場合はYouTubeユーザーは若年層に限らない。オンライン動画視聴者のうち、最多年齢層は45歳から55歳だったという。ここからは極めて象徴的な未来図が読取れるのではないだろうか。


ポイントは一つ。この年代層は、なぜテレビではなくYouTubeでビデオを見たのか。答えは一つしかない。テレビは受け身である。すなわち見たいときに見たい番組を自由に見ることのできるメディアではない。放送局が決めたプログラムに従って放映される番組を、コマーシャルがうざいなあと思いながらも、見させていただくしかない。


これに対してYouTubeならイニシアティブは自分にある。好きな時間に、好きなビデオを、コマーシャルなどにわずらわされることなく見ることができる。YouTubeで探せば、見たいなと思う番組はまず間違いなく誰かがアップしてくれているはずだから。


しかもバラク・オバマ氏の演説なら、画質にこだわることもない。彼が実際にしゃべっていることさえわかれば十分だろう。従ってYouTubeの画質で何の問題もない。


いきなり話は飛ぶが、田坂広志氏が「いずれは、すべての企業のウェブサイトが、その企業が社会にメッセージを発信するテレビチャンネルになっていくでしょう(『ビジネスプロフェッショナルの仕事力』日本経済新聞社日本経済新聞社)」と述べている。インターネットはこれから、どんどんテレビ的になっていくのではないだろうか。すなわちネットのコンテンツは、これまでのテキスト&画像から動画に変わっていく可能性が高い。


日本の自治体でもYouTubeを活用する動きが出ている。今朝の日経MJ新聞には、和歌山県YouTubeを使って150本もの動画放映に踏み切ったことが伝えられていた。これを同県では「和歌山県インターネット放送局」と呼んでいるようだ。まさにインターネットは自分が好きなようにプログラムを流すことのできるテレビ局なのだ。


ということは、もしも、この先日本で選挙が行なわれたときに、自分が応援する候補者(もしくは政党)の勝手広告YouTubeにバンバンアップされたりしたら、一体どうなるのだろうか。これはもちろん政見放送じゃないし、政党の正式な見解を表現する動画でもない。が、たとえば、秋葉原をバックにして麻生太郎氏の勝手応援広告ビデオが作られたりすることもあり得るわけだ。


というようなことぐらいはすでに考えている人が、きっといるはずだ。もし、それで若い人の気持ちにヒットするような勝手広告が作られたりしたら、さらにそれがネットで話題になったりしたら、思わぬところで番狂わせが起こらないでもない。


いささかアウトローチックではあるが、そんな形でもいいからみんなが選挙に関心を持つようになり投票率が上がれば、おもしろくなるし、国全体も良い方向に向かうのではないだろうか。


昨日のI/O

In:
『人とこの世界/開高健
Out:
樋渡・武雄市長インタビュー原稿

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□InsightNow最新エントリー
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http://www.insightnow.jp/article/1881

昨日の稽古:

・懸垂、レッシュ式腹筋