引越しの多い人生

48年で11回

引越しに関するエントリーを書くのは、これが３回目。ちょうど２年ほど前に人生46年間での引越し回数が11回になったと書いた。それから２年経ったけれども、まだ同じところに住んでいるので48年で11回は変わらずということになる。

これを平均年数で考えるなら、48÷11＝4.3ぐらいである。本来なら４年に一度は自宅を移す人生を送ってきたことになる。どちらかといえば引越しの多い人生といえるのではないだろうか。なぜそんなに引っ越してきたのかと言えば、親があちらこちら移り住むことを好んだからだ。正確には好んだというよりも、少しでも広い官舎を求めて彷徨っていたというのが当たっているかもしれない。

ともかく、そうやって住まいを転々とする人生を送ってきた結果、どうなったか。地縁というものにほとんど恵まれない半世紀となった。

まず幼稚園には通っていたが、そのころの友だちは皆無である。小学校１年の終わりに大阪から京都に引っ越したために、小学校の入学式に一緒だった友だち（一人だけ、まだ名前をはっきりと覚えているけれど）との縁もぷっつり切れている。いま思い返してみても、小学校１年生の頃の記憶は、学校の校舎を含めてきれいさっぱりない。掃き清めたばかりの砂場みたいに真っ白だ。

では、小学校２年からの縁はどうなったか。小学校を卒業すると同時にまたまた引っ越してしまったゆえに、小学校時代の友だちともそのままおさらばすることになった。中に微かに一人だけ、同じ卓球仲間ということで、ごくごく細い糸でつながった友だちがいた。彼のおかげで数年前に、ほぼ30年ぶりに昔懐かしい人たちと出会うことができた。ありがとう高橋君。

さて、中学に入る前の春休みに引っ越したのが大阪は枚方の御殿山にある官舎である。つい先日、大阪で仕事の合間に少し時間があき、ちょうど京阪電車に乗っていたこともあって、ちょっと御殿山まで行ってみた。

京阪電車・御殿山駅そのものは31年前とほとんど変わっていなかった。駅前はロータリーができたりして、往時とはイメージがずいぶん変わっていた。学校の帰りにほとんど毎日寄っていた本屋さんがなかったのは、ちょっと悲しかった。

そして中１から高３の１学期まで、毎日通った道を辿ってみた。歩いているときに、自分の成長環境とそこで育まれた性格の関係についての今さらながらではあるけれどびっくりするような発見があった。

自分の性格、特に対人関係の取り方が中学校〜高校時代の通学環境に激しく影響されていることがわかった。あまりにも長い時間をひとりぼっちで過ごしてきたことが、ほぼ間違いなく人との接し方に大きな影響を与えている。その通学環境とはだいたい次のようになっていた。

自宅→（徒歩）→京阪・御殿山→京阪・伏見桃山→＜乗り換え＞近鉄・桃山御陵前→近鉄・奈良→（徒歩）→学校

このコースで乗り換え時間を含めてトータルで片道１時間５０分ぐらいになる。その大半が一人っきりの時間だった。特にクラブを辞めた高校２年のときからは、ほぼ完全に一人となった。さらに滋賀県へ引っ越した高三の夏休み以降は完璧に一人となった。もとより家に帰っても近くには知り合いすらいない。話し相手は家族（それも反抗期を迎えて以降は、たまにおばあさんとはなすぐらいだったが）しかいない。そんな環境だったのだ。

もちろん卓球部にいた頃はしゃべる相手がいた。しかし、クラブをやめてからは、クラスでも話をする相手はごく限られていき、その限られた相手と話をすることもどんどん減っていった。高三の夏休みなどは、ついに４０日間、ほとんど誰とも話をしないで過ごした。おかげで夏休み明けに学校へ行ったときの違和感はとても強く、少なくとも自分からは誰とも話をすることが「できなかった」。あれは一種の脅迫神経症状態だったんじゃないだろうか。が、自分としてはそれでも結構平気だった。

今から考えると、この長距離単独通学と地元友だちゼロ環境によって『人＜に＞話をしなくても平気でいられる』性格が築かれたのだと思う。もちろん人＜と＞いるのがイヤなわけではない。あえて孤独を好む性向があるわけでもない。ただ、人と一緒にいてもじっと黙っていることが苦にならない。

そして、えらいものである。これこそもしかしたら神の無言の手に誘われてきたということなのかもしれない。そうした人と対面しても、あえて「自分が」と言わずに抑えていられる性格をきっちり活かす仕事に就いている。ふ〜む。人生とは奥が深いものだ、というようなことを、昔通い慣れた通学路を歩きながら思った。

昨日のI/O

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『「聞く技術」が人を動かす／伊東明』
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昨日の稽古：

懸垂・レッシュ式腹筋