セミナーで自分を知る
若手経営者の方を中心に20名ほど
「転ばぬ先の杖」を合言葉に、関西の若手経営者が集う勉強会がある。名を『共創塾』という(→ http://m2photo.keikai.topblog.jp/blog/100/10012475.html)。代表を勤めているのが、もう十年来の付き合いになるカメラマンの宮田昌彦氏。毎月一度、会員が一堂に会して勉強会に励んでおられる。
その共創塾の催しとして『インタビュー式営業術』のセミナーをやらせていただいた。自分で書いた本について、自分が講師としてセミナーで語る。さて、何をどう話そうかと前日まで結構あれこれ悩んだ。どんな話をしても、大して面白くないんじゃなかろうかという先入観から抜け出ることができなかったからだ。
そもそも自分の専門は聴くことである。決して話す方ではない。しかも今回のお題については、さすがに本を書いただけのことはあるというかなんというか、自分にとってはすでに当たり前のことばかりである。だから自分としては発見も何もない。すなわち自分にはどうしてもおもしろいとは思えないのだ。
とはいえ、おもしろくも何ともない話をしたのでは、声をかけてくれた宮田さんに申し訳が立たない。どう話せば良いか。掴みをどうして、こんなギャグを入れて少し場を和ませて、このあたりでテンションを高めてなどと考えれば考えるほど、陳腐に思えて仕方がないのだ、
かといって今さら話術の本を読んで、それをアレンジしてというのも遅すぎる話である。さて困ったぞと追いつめられて、ひらめいた。
結論。慣れないことをやってカッコつけようとしても、失敗するに決まっている。それなら、自分の得意技で勝負すべきではないか。
つまりインタビューをして構成を組み立てるのである。いささかややこしい話になるけれども、こういう次第である。つまり『インタビュー式営業術』という本をまず読む。しかる後にこれを書いた竹林篤実なる人物に、自分がインタビューするとしたら、どんなふうに質問を構成するだろうかと考えた。さらに、その構成に従ってインタビューすると、どんな答えになるだろうかと想像した。
当たり前の話だけれど、ここまでの作業は自分一人で完結する。そして、ここからがミソなわけだが、インタビュー結果に基づいて原稿を書くとどういう構成にすればおもしろいかと考えてみた。すると、あろうことか、本の構成と違った結果となったのだ。あれま!
これは、おもろい経験となりました。どこまで客観的な立場で検証できたかどうか、そこについてはまったく自信はないものの、これぞ離見の見ではないのかと思った次第。最初に本を書いたときは、完全な我見の世界である。恐らくはそこで生じる偏りを、編集者が常に読者の視点を意識することで糺してくれる。
そして今回、自分で書いた本について、自分がインタビュアーとして自分にインタビューすることで、どこがおもしろいのか、どこを伝えたかったのか、どこがわかりにくいのか、どこに疑問をもつのか、ということがわかった。
しかも講演というしゃべくり芸の場では、本には決して書けなかったことも、この際だから言ってしまえぇ〜、えいやっ。みたいなことだってできる。いや、実に貴重な体験となった。
宮田さん、共創塾の皆さま、昨日のセミナーにお越しいただいた方々、昨夜は本当に得難い体験をさせていただきました。本当にありがとうございました。
昨日のI/O
In:
『Webプロジェクトマネジメント標準/林千晶・高橋宏祐』
Out:
ロフトワーク・林さんインタビュー原稿
昨日の稽古:
- 作者: 竹林篤実
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- 発売日: 2008/12
- メディア: 単行本
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