50歳を痛感させられたメール

50歳になって2ヶ月が過ぎた


確かに
・細かい字を読むときには、メガネを外さないとダメになった
・久しぶりに会った人から、白髪が増えましたねといわれた
・耳がいささか遠くなり、人の話を聞きづらくなった
・もの覚えが悪くなり、特に人の名前を思い出せなくなった
・お酒に弱くなり、少量でも呆気ないほどすぐバカになる
・長く眠り続けることができず、夜中に目が覚めてしまう
・髪の毛以外にも白いものが、目立つようになった
といった案配で加齢現象は着実に進んでいたのだが、さて。


本人はいたっておめでたい人間故に、自分が50歳になったことをほとんど意識していない。いや、正確には、あまり意識していなかったというべきだろう。


これが戦前であれば、そろそろ平均寿命に達しようかという年齢である。長老の部類に入る年の功である。半世紀の歴史というか年輪が、たとえば顔のしわに刻み込まれ、それなりの威厳も備わるはずなのだろうが、残念ながらそうした気配はまったくない。


かといって、決して、いつまでも若いつもりでいたわけでもない。上記の加齢現象は、特にここ一、二年の間に雪崩を打つかのように現れ出でたるものばかり。認めたくはないものの「おれも歳を取った」と自覚せざるを得ないところに追い詰められてはいたのだ。


もちろん、今年の誕生日を迎えた朝には、今日から50歳か、となにがしかの感慨はあった。アラフィフど真ん中だい、などと思ったりもした。しかし、それ以降の日々は、自分が50歳であることなどまったく忘れていた。


そこに届いたメールが上記である。


JR西日本さんの50歳からの旅クラブ「Club DISCOVER」からのご案内である。「3月29日現在で50歳以上のJ-WESTネット会員様にお届けしています」と書かれている。無断掲載を禁じられているから、このヘッダー部分だけを引用させてもらったが(これぐらいはお許しください)、メール本文には谷村新司氏がどどぉ〜んと登場されている(→ http://cdw.jr-odekake.net/contents/)。


そのキャッチコピーに曰く「ボクはいま、万葉ロマンをめぐる旅」とある。なぜか、「僕」でも「ぼく」でもなく「ボク」である。Club DISCOVERのイメージキャラクターが、谷村新司氏なのだろう。つまり、谷村さんなら、50歳になった筆者に訴求力がある、とこの企画を担当したプランナー氏は考えたわけだ。


最初、このメールを見たときには、何も感じなかった。その理由は、使っているメーラーGmailであり、画像表示をしない設定にしているからだ。そのままサクッと消去してしまえば良かったのが、なぜか、画像を表示させてみると、谷村氏が出てきたという次第。


そして本文を読んでみると「50歳になった」私に宛てたお誘いである。これは強烈なインパクを与えた。あるいは、このメールこそが、自分が50歳になったことを初めて、決定的に意識させてくれたといってもいい。


「おお、そうか。私は50歳なのだ。そして50歳になった私のアイドルは、谷村新司さんと思われているのだ」と。個人的には、谷村氏に含むところは何もない。むしろ百恵世代としては名曲「いい日旅立ち」の作者として、リスペクトするところ大である。しかし、自分が谷村氏と同じ年齢カテゴリーに識別されることに対しては、どうしても合点が行かぬ。


そりゃ、ないで、というか。いや、ちゃうで、というか。堪忍してや、と言いたいのだが。しかし、そう思っているのは本人だけで、これが二十代の方々からみれば「いや、おっちゃんも、谷村さんも、似たようなもんやん」となるのかもしれない。


そうなのか! というか、それでよいのか! どうなのだ、おれ?



昨日のI/O

In:
『バビロンの流れのほとりにて』森有正
Out:
S社株主通信原稿

昨日の稽古: