一人でもやれること


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資料請求数が2年で2倍に


Z会への資料請求数が、2年で倍増した(日経産業新聞2010年5月31日付4面)。もちろん、何もせずに、ではない。そんなことはあり得ないわけで、では何をしたのか。テレビCMをがんがん流し、新聞広告も全国版全15段ぶち抜きで、主要4紙にに出しまくった、わけではない。


まったく違う。もしかしたら、リアルなコスト(=ハードマネーという意味ですね)は、その1万分の1ぐらいしかかけていないのではないか。にもかかわらず、どうして、そんなことができるのか。知恵を使っているからだ。


知恵を使い、ネットが生み出した新しいメディアを、フルに活用しているからだ。Z会といえば、以前にもこのブログで紹介したことがある(→ http://d.hatena.ne.jp/atutake/20090217/1234857795)。勝手広告を作り、youtubeで流す。アイデアである。仕掛け人となった知恵者がいるのだ。


この人は、Z会のウェブ企画を一人で立ち上げ、作り上げ、まわりの人を巻き込み、メインターゲットである高校生、中学生から小学生に社会人までを取り込んでしまった。自らブログを書き、Z会ブログにターゲットを誘い、社員にもブログを書くことを奨めた結果が、資料請求数であり、Z会が抱える80以上のスタッフブログとして実を結んでいる。


そして、つい最近、また新しいサービス(というか、メディア)を立ち上げた。ダイガクエストという(→ http://www.daigaquest.jp/)。仕掛け人氏いわく「これはソーシャルメディアですから」だそうだ。サイトのトップページには「大学ポータルサイト」とうたわれている。


大学生、高校生を対象に、大学の情報をまんま集めてしまおうじゃないのというサイトである。しかも、その大学に在籍する大学生による口コミ情報や、大学内情報をばんばん載せていこうというサイトである。


しかも、その在校生にはZ会のOB、OGたちがたくさんいる。彼らに情報提供の協力を求めていたりする。情報の質が担保される。だけではなく、他にもいろいろ仕掛けがある。うまいなあと思う。何より、書き込むのが楽しいのだ。


筆者も出身大学(卒業したのは、すでに四半世紀も前のことになるのだが)に登録し、ときどき書き込んだりしている。書き込みにコメントが加えられたり、評価されたりすることがわかるようになって、また書いてみようという気にさせられる。


取材でお邪魔した大学があれば、その大学のこと、取材した先生のことなども、勝手に書いちゃったりしてしまう。書く気にさせるのである。そのあたりを分析すれば、いろいろ理論的な仕掛けがあるのだとは思うが、何より仕掛け人の人柄がにじみ出ているのが、フレンドリーさの最大の要因ではないか。


そう、一人でZ会のウェブ関係をせっせと作り込んできた仕掛け人は、コミュニケーションの達人なのだ。少し早口で、頭の中の回転が速すぎて、話を聞いている方が、話の流れを追いきれないときもあるのだけれど、基本とてもフレンドリーな方である。


優れたビジネスマンでありながら、お金にならないこと、たとえば勉強会の世話人なども、ニコニコしながら勤めておられる。今どき珍しい人、というべきなのか、それともコミュニケーション上手の人としては、当然のことを当たり前のようにしているだけの人なのか。


ただ一つ、確実なのは、この人は、人に対して、絶対に悪意を持つことはない、ということ。そういう人である。だから、この仕掛け人氏が関わっているサイトは、どこも、あったかみがにじみ出ているのである。


その人の名を、寺西隆行という。これからのネットマーケティングを考えるとき、寺西氏の動き方は、きっと参考になる。要注目人物である。


昨日のI/O

In:
星野リゾートの教科書』中沢康彦
Out:
S社事業報告書原稿
K社事例集原稿

昨日の稽古: