iPadはどこが違うのかby京都勉強会
- 作者: マックピープル編集部
- 出版社/メーカー: アスキー・メディアワークス
- 発売日: 2010/05/28
- メディア: 大型本
- 購入: 3人 クリック: 50回
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高さ24センチ、幅19センチ、薄さ1.3センチ
iPadである。こいつは、一体何なのか? 発売即完売、アメリカではすでに何百万台も売れているという。日本でも発売初日は、行列ができた。手に入れた人は、みんな「すごい」という。どこがすごいのか。
ここは一つ、冷静にマーケティングのフレームワーク的に分析してみようじゃないのと、京都で行っている『朝勉』のテーマに取り上げてみた。参加いただいたのは、iPhone用のアプリ開発をメインで手がけられているベンチャー企業の社長さん、CMSなどのシステム開発とコンサルティング業をお一人ででされている方、そしてスポーツトレーニングコーチのお三方。
お一人は、すでにiPadをお持ちである。いち早く手に入れられた理由は、やはり新しいビジネスのため。つまり、どんなアプリケーションを開発できるのか、その可能性を探るのが目的だ。
別の方は、これまでスマートフォンには関心がなかったが、今回は買う予定だという。iPhoneは買う気がなかったが、iPadは手に入れたい。その理由は何かといえば、ビジネス展開の汎用性に惹かれるからとのお答えだった。
画面の大きさが決定的なのだ。比べてみればわかるように、iPadは大きい。iPhoneとは比べものにならないぐらいでかい。この画面サイズの違いが、質的な違いをもたらしている。質的な違いとは、操作性の違いである。iPadは、iPhoneに比べて圧倒的に使いやすいのだ。
質の違う使いやすさが何につながるのか。汎用性である。つまり、iPhoneではアイデアレベルにとどまり実用にならなかった用途が、iPadでは現実的な用途として浮上してくる。
開発者なら、開発したシステムなりアプリケーションなりの確認用マシンとして使える。これはiPhoneでは無理で、ネットブックでも難しかった用途である。つまり従来ならノートパソコン以上のマシンでしかできなかったことが、軽くて薄くてバッテリーの持ちの良いiPadでできる。
ちょっと大げさかもしれないが、ワークスタイルが変わる可能性がある。ワークライフバランスの変化につながることを思えば、iPadはある特定業種に携わる人々の、生き方を変えるかもしれないマシン、と呼ぶことができるのだ。
あるいは路上アンケートを採る端末として使えるではないかとか、飲食店で注文を受けるという使い方もあるなという話になった。新聞社が、自分の首を絞めることになるかもしれないが、いま自社の新聞を取ってくれている家庭に、一台ずつiPadを配ったらどうなる、と大胆な問題提起もあった。
仮に今後、カメラもしくはバーコードをスキャンする機能が付けば、倉庫での出荷管理にも使える。もちろんゲームなどのエンターテイメント系の使い道なら、いくらでも考えられる。ほかにも佐賀県武雄市では、小学校にiPadを導入して学校教育のツールとして活用するそうだ。教育にも最高のツールとして機能するだろう。
つまりiPadは、iPhoneに似ているが用途の広がり方はまるで違っていて、ネットブックが競合であるように思われながら、それもまったくの誤解であり、ノートパソコンの代替品かと思えば、そんな小さな枠には収まりきれないほどの用途性を持っている。
すなわち革新的な製品なのだ。
しかも製造ロットが半端じゃない。数百万台レベルともなれば、パーツコストにどれだけの量産効果が効いてくるか。おそらくミニマムレベルまで下げられたパーツコストに支えられながら、それでもコンサルタント氏は「おそらく、製品一台あたりの単独収支では大幅な赤字ではないか」と指摘される。
それでも構わない、とスティーブ・ジョブズは考えているのだ。なぜならiPad単体で利益を出す必要がないから。iPadは、すでに膨大な種類が用意されているアプリケーションとコンテンツを消費するためのツールなのだ。もちろん無料のものが圧倒的に多いにせよ、ここはフリーミアムモデルである。無料ユーザーのうちの5%が有料ユーザーになってくれれば、収支は成り立つ。
しかも、アプリケーションなりコンテンツなりを提供する側から見れば、iPadほどビジネス効率の高いチャンネルはない。iPad用のアプリを開発すれば、その先には発売一ヶ月で200万人以上がひしめくマーケットがあるのだ。その数は今後も、どんどん増えていく。それも世界中に。
開発者メリットも極めて大きい。
しかもAppleは次の一手まで周到に用意している。その名を「iAd」という。広告である。という重層構造的戦略に支えられた製品がiPadなのだ。しかも、そうしたことをまったく忘れさせるほどのユーザビリティを備えていて、ユーザーは単純に、iPadにさわっているだけで幸せになれる。
恐るべし、iPad!
ちなみに、次回(第三回)京都朝勉強会は近日開催の予定。
昨日のI/O
In:
『プレジデント』7.19日号
Out:
MRIレポート原稿
昨日の稽古:富雄中学校武道場
・基本稽古、移動稽古、ミット稽古、組み手稽古